COVID-19の拡大後、いち早く中国からの渡航制限を敷くなど、比較的対応が早かったフィリピン。しかし2020年11月末現在、国内感染者数は40万人を超え、毎日2,000人前後が感染を続けており、東南アジアではインドネシアに次いで感染者数2位となっていた(世界27番目)が、現在は解除された。

WHOからパンデミック宣言が出された3月から11月まで続いていた、世界的に見ても長期的なロックダウン。この封鎖が始まったときから今まで、約9ヶ月フィリピンに滞在しているからこそ見えた現状をお伝えする。

▲フィリピン 出典:PIXTA

封鎖開始直後は政府からのフェイクニュースばかり

「また、政府のアナウンス内容が変わった……」

新型コロナウイルスの拡大が始まった3月からの数ヶ月間(特に初めの1ヶ月間)、フィリピン政府の対策は「行動が発言よりも先に出る」というものだった。

マニラ市の封鎖は発令から1日以内に実施され、移動先のエリアで立ち往生してしまって家に帰れない、という状況になっていた。身寄りも友人もいなければ金も残っていないと、途方にくれた人も多かったと聞く。

国際線の入国禁止も、昼に発令されたかと思えば、12時間後の深夜0時から適用され、到着した外国人観光客が空港内に閉じ込められるという事態も発生した。それに応じて、航空会社もアナウンスメントの変更が必要になるなど対応に追われていた。

混乱が生じたかと思ったら、翌日〜数日後にはまたアナウンスが変わる。政府がフェイクニュースを流している感じで、疲れたが慣れてきた。

封鎖の内容に抗議しようものなら、ドゥテルテ大統領お得意の「射殺」で政府は対応する。麻薬取引とデモが同じ扱いになっている。

コロコロ変わるニュースが落ち着いてきた4〜5月以降、首都マニラや観光地セブ島をはじめとした各地域が、感染者が増加傾向になれば封鎖強化、減少傾向になれば緩和を繰り返している。

約7,000の島からなる(人が住んでいるのは約1,000島ほど)フィリピンでは、各島・島内エリア毎にロックダウンの状態が異なり、4段階に分けられたレベルが設定されている。

  1. ECQ:Enhanced community quarantine(強化されたコミュニティ隔離措置)
  2. MECQ:Modified Enhanced community quarantine(修正を加えた、強化されたコミュニティ隔離措置)
  3. GCQ:General community quarantine(一般的なコミュニティ隔離措置)
  4. MGCQ:Modified General community quarantine(修正を加えた一般的なコミュニティ隔離措置)

※1が一番厳しい状態で、4が通常の生活に近い状態

政府は厳格な外出・移動制限措置(1.ECQ)を、5月中旬からMECQやGCQに段階的に緩和。

しかし、1日1,000人以下で推移してきた感染者が、8月に入ると1日で6,700人になるなど一気に増加。医療制度が崩壊する恐れがあると医師らが警告したこともあり、8月にマニラ首都圏とその周辺州で再度厳格化した。

現在、1日の感染者は右肩下がりになってきたため、各地でGCQ・MGCQの状態が続いているが、ECQに再度強化されるのでは? という地域も挙げられているようだ。

▲ルソン島北部 バキオ市