猛威を振るったコロナが少し落ち着きを見せるなか、ライブの自粛を余儀なくされていたアーティストたちが、徐々にライブ活動を再開させている。

しかし、どのライブでも拳を上げたり、声を出したりすることは、依然ご法度とあって、観客は基本、マスク着用で手拍子のみ。ロック系のライブなどでは、いささか盛り上がりに欠ける感が否めないが、そんななかで「むしろ、こっちのがいいよ!」と評価を上げているアーティストがいる。

12月3日に神奈川・よこすか芸術劇場で、2年ぶりの有観客ライブとなるアコースティックツアー『REBORN』(リボーン)をスタートさせた長渕剛(65)だ。

古参ファンが離れた一番の理由とは?

▲「生まれ変わり」「再生」を意味する『REBORN』

「正直、これまで行ったどのライブよりも良かった! これを機に、ギター1本で勝負する彼本来のスタイルに戻ってほしい!」

そう語るのは、横須賀でのライブに足を運んだ長渕ファン歴31年という小川さん(48)。

以前は、よくライブにも足を運んでいたそうだが、ここ15年ぐらいは長渕剛から離れていたのだという小川さんは続ける。

「長渕剛の歴史は、良くも悪くも変遷というか、変節の歴史なんです。それについていけずに彼から離れていった人は多いと思います。僕の場合は、彼がライブで毎回、拳上げを強要するようになった頃からライブに行かなくなりました」

彼のような長渕ファンは、実は多い。というか、私自身がそうだ。

私が長渕に出会ったのは高校時代。アコースティックギター1本で世の中に闘いを挑むかのごとく、ときに激しく、ときに優しく歌っていた長渕が好きだった私は、2004年8月に長渕がおこなった伝説の桜島オールナイトライブを最後に、一度、長渕から離れた。

このとき一緒にライブを見に行った友人2人も、桜島で長渕を卒業していった。そのうちの1人である矢島くん(44)の卒業の理由はこうだ。

「00年代から特に顕著になったと思うんですが、本来アコギで弾き語るような歌もバンドを従えて、ことごとくロックアレンジで歌うようになっていったじゃないですか。こっちはギター1本の長渕剛が見たいし聴きたいのに、拳の突き上げや、コール&レスポンス(客との掛け合い)ばかりが増えていって……。『勇次』や『ひまわり』といった曲で、オイ、オイ拳を突き上げるのにはさすがに違和感を覚えて、ライブに行くのをやめました」

こうした昔からのコアなファンたちの声を知ってか知らずか、長渕剛のスタイルは変わり続けていったのだ。