夜の銀座で40年以上、数多くのVIPやビジネスマンを接客してきた伊藤由美ママが、頑張っているのに結果が出ない人、不運を嘆く人の共通点を指摘してくれました。ここを修正できれば、ビジネスや人生の成功に近づけるはず! 今回の新型コロナウイルスの感染拡大によって「お酒との向き合い方」も大きな変化を迫られました。
本記事は、伊藤由美:著『「運と不運」には理由があります 銀座のママは見た、成功を遠ざける残念な習慣33』(ワニ・プラス:刊)より一部抜粋編集したものです。
「また一緒に飲みたい」と思わせる飲み方とは?
取材などでも申し上げているのですが、人に「人品」があるように、お酒の飲み方や向き合い方にも「酒品」という品性があるというのが私の信条です。
「酒に十の徳あり」ということわざがあります。
お酒には・・・「百薬の長」「寿命の効(長生きの効果)」「旅行に食あり」「寒気に衣あり」「推参に便あり」「憂を払う玉箒」「位なくして貴人と交わる」「労を助く」「万人和合す」「独居の友となる」という十の徳(長所)があるという意味です。
一緒にいる人も、自分自身も悠然と酔いの雰囲気を楽しむ。飲むほどに、酔うほどに会話は深く、広く、楽しくなり、その場には明るい笑い声が絶えることがない。席を立つときが近づいても、もっと話していたい。お開きになっても、またすぐ、ともにグラスを傾けたくなる。
酔ったときほど理性的になり、屈託があっても爆発させず、お酒と会話を楽しめる。楽しく飲むことで心の屈託を忘れられる。人からもお酒からも愛され、若い人から「自分もあんなお酒が飲めるようになりたい」と憧れられる。
酒品とはお酒を楽しむ心意気であり、酒品のある人とは、お酒の「徳」を知っている人のことなのです。
きれいなお酒を飲む。楽しいお酒を飲む。これは社会人として忘れてはいけない最低限のマナーです。
シラフのときは穏やかで温厚で紳士的でも、お酒を飲んだら豹変するような人は「酒品がある」とは言えません。正体をなくすまで酔って、大騒ぎしたり暴れたり、他のお客様に迷惑をかけるなんて論外。
酒席で周囲に迷惑をかける行為、周囲を嫌な雰囲気にする行為は、サッカーで言う「レッドカードで一発退場」と同じこと。それだけで、その人の人間性に対する評価や評判を地に落としてしまいます。
もちろん酒席でのトラブルが厳禁なのは言うまでもありません。お酒が入ると時間の感覚や金銭感覚がマヒしやすく、トラブルにも発展しがちです。
そういう場でお酒の徳だけでなく、お酒の“毒”やリスクを十分に理解したうえで、節度を持って程よく酔い、周囲を明るく、くつろいだ席にできる。そんな「酒品の持ち主」は、仕事もきっちりデキる人のはずです。
お酒をきれいに飲んでいますか? 品性を疑われるお酒の飲み方をしていませんか?
お酒は人間を丸裸にします。理性のタガが緩み、心の鎧が外され、その人の本質が表に出てきます。酒は人なり。お酒を飲んだときの品性=酒品は、その人の本当の姿でもあるのです。
飲むほどに、人としての味わいが深まっていく。皆さまにはそんな酒品のある粋な大人であってほしいと思います。