高校1年生で出会って『ハイスクール漫才』に出場

――お二人はもともと高校の同級生なんですよね。タイプが違うお二人がなぜ仲よくなったんですか?

いわし:1年生のときに同じクラスだったんで、それがきっかけですね。入学式の前に健康診断があったんですけど、みんなが体育館に移動するために廊下に並んでるなか、ずっと教室でカバンの中をゴソゴソしててる人がいて。「なんか探してるん?」って聞いたら、「なんも探してない」って言われたんですよ(笑)。そこからですね。

――にぼしさんは何を探してたんですか?

にぼし:ほんとにわからないんですよね……。そもそも私はその記憶がなくて、話しかけられた記憶もないんですよ。だから、ウチはどっから仲良くなったか覚えてないんです(笑)。

▲仲良くなったきっかけを教えてくれた二人

――謎のままなんですね(笑)。お笑いを始めたきっかけは?

いわし:高校のときに『ハイスクール漫才』に出場したのがきっかけですね。

――お二人ともお笑いに興味があったんですか?

いわし:いや、二人とも全然お笑い好きとかじゃなかったんです。むしろ、クラスの隅っこにいるタイプで。だけど、文化祭でクラスの陽キャの人たちが漫才とかやってるのを見て、「何がおもろいねん」とか言ってたんです。

にぼし:サンドウィッチマンさんのネタの完コピとかやるんですよ。普段は大阪弁なのに、 完コピしすぎて標準語になってるのキモいなって笑ってました。

いわし:そういうのを見て「ウチらのほうがおもろいねん」って、それで『ハイスクール漫才』に出ました。当時、学生だった粗品さん(霜降り明星)とかレインボーの池田(直人)さんとかも出てたんですけど、高校生だけでライブ開いたりとかしてる人もいて、“あれ? こんな世界もあるんや”って新鮮だったんです。

それでNSCに入ろうと決めました。でも、ウチの親はイケイケゴーゴーだったんですけど、なぜかにぼしの親が認めてなくて……(笑)。

にぼし:赤点を取りまくってたんで……。『ハイスクール漫才』も内緒で出てたんですよ。だから、カミングアウトしたときに「こんなに赤点取って、なにしてたんや!」ってなってしまい。そのあと「大学に入学できたらNSC入ってもいい」と言ってくれたんですけど、大学も落ちてしまって……。

いわし:私は普通に大学へ行けたので、1年間、大学に通いながら自分の分と、この人の入学金を稼ぎました。でも、最終的に20万足りなかったんで、うちのおばあちゃんに20万出してもらって(笑)。

――いわしさんにそこまでさせる、にぼしさんの魅力ってなんですか?

いわし:ボケようと思ってボケにいったら『新喜劇』みたいになるんですけど、 普通に歩いてるだけで変だったり、「おはよう」って言うだけで変だったり。舞台上でも、にぼしが「はい」って言うだけでオチたりするんですよ。なんか天性のものというか、そこは本当に私にはないな、と。ただ、突出しすぎてて、自分でも乗りこなせてないんですけどね(笑)。

にぼし:なかなか自分では(笑)。

阿佐ヶ谷姉妹の美穂さんみたいな存在になりたい

――この先、コンビとしてどんな存在になっていきたいですか?

いわし:ライブは単価も安いですし、経費を引くとほぼ手元に残らないんですけど、ライブで全国を回って、それだけで食べていきたいとはずっと思っています。そのために、まずはテレビに出て知名度を上げたり、賞レースで結果残さないとなんですけど。

――芸人さんのなかには、バラエティ番組に憧れてお笑い芸人になる方も多いですが、そこへの憧れは強くないんでしょうか。

いわし:芸人になったときばかりの頃は、舞台を見て“おもしろいな”って思うことのほうが多かったので、バラエティ番組を中心に活動することにあんまり魅力を感じてなかったです。だけど、自分たちでライブを企画をすることが増えていくなかで、意外とテレビで企画してるものも同じなんやって。

自分に自信がないから、あんまりそういうのやりたくないって部分もあるので、今はそういうところにも挑戦していかなあかんとは思っています。それこそ東京に来て、身近な芸人がバラエティの企画から携わっている姿とかを見ると、ライブもテレビもおもしろいものを作りたいというのは同じなんだなって。それは大阪にいたら絶対に気づけなかったことですね。

――東京に進出して、今年はお二人にとって勝負の年になると思います。2024年の目標を教えてください。

いわし:今年は絶対に『M-1』の決勝に行きたいです。私たちはオーディションとかもほぼないので、『THE W』か『M-1』で結果を残さないと世間に出られる機会がないんですよ。これまで『THE W』では3回決勝に出させてもらったんですけど、正直、ウチらぐらいだったら優勝しないと広がることはなくいので……。なので、『M-1』で決勝を目指したいです。

▲2024年の目標は『M-1』で決勝進出!

――『M-1』も世代の近い方がどんどん決勝に進出して、ブレイクしてますもんね。

いわし:そうですね。近い人たちが決勝に出るようになって、悔しいのもあるんですけど、勇気も出ました。

――特に刺激を受けた存在は?

いわし:シンクロニシティさんが、準決勝に出たのは大きかったですね。あのときシンクロニシティさんも働きながらのフリーだったので、年間2本くらいしかネタを作ってなかったらしいんですよ。でも、ちゃんとそれをブラッシュアップして、準決勝までいかれて。「完全におもしろいネタ作ればいけるんや!」って勇気が出ました。

――にぼしさんは個人として目標はありますか。

にぼし:個人的には、阿佐ヶ谷姉妹の(木村)美穂さんみたいな存在になりたいですね。あの絶妙な感じというか。

いわし:阿佐ヶ谷姉妹さんと変ホ長調さんとウチらで、ご飯に行かせてもらったことがあったんですよ。そのとき美穂さんは、場所がわからなかったらしく、遅刻してきて。みんなで「美穂さん、もうすぐ来るなら待っておこうか、でもお腹空いたね。どうしよう……」みたいになってたんです。そこに美穂さんが入ってきたんですけど、最初のひと言が「ごめん」とかじゃなくて、「着いたわよ」って(笑)。

にぼし:美穂さんにしかない世界観がありますよね。その一言も本当にいいなって思いました。目指してできることじゃないんですけど、美穂さんみたいになれたらいいなと思います。

(取材:梅山 織愛)


プロフィール
▲にぼし / いわし
にぼしいわし
にぼし 
1992年6月13日生まれ 。大阪府出身。ライブのフライヤーデザイン、グッズデザイン担当
特技:絵を描く、猫と話すこと、お笑い
趣味:骨董市巡り
好きなもの:ビートルズ、たまご、欅坂46
X(旧Twitter):@NIBOSHIIWASHI21


いわし
1992年7月2日生まれ。大阪府出身。ネタ作り担当
特技:タイピング、習字、球技、ピアノ
趣味:飲酒、水族館巡り、読書
好きなもの:エレファントカシマシ、アイドル、お茶
Instagram:@niboshiiwashiiwashi