といろの伝わってなさがエグい

――とんずさんがネタを書いていますが、といろさんも“言わされている感”がないように思えました。お二人の共通認識が近いかなのかと思ったのですが、いかがでしょう?

とんず:といろさん、空っぽやからな~。何も思ってないんじゃない?

といろ:覚えにくいネタとか、覚えやすいネタとかは思ったりしますけど、別に“こうしたほうがおもろくなる”とかは思ったりはしないですね。

――といろさんに完成したネタを送り、それからネタ合わせをするって感じでしょうか?

とんず:そうですね。といろさんがネタ送れって言うんで……。

といろ:だいたいは覚えておきたいので。

とんず:で、ライブ前にネタ合わせをするみたいな感じです。といろさん、最初は何がウケるかよくわかってなかったよな?

といろ:バラエティ番組はよく見ていたんですけど、ネタはあまり見たことがなくて。ネタはフィクションやし、どうせお客さんのなかに“笑い屋”みたいなのがおるんやろうなって。

とんず:よくない! よくないって!

といろ:だから、ベタなお笑いとかも知らなくて。これがウケるとか、わからなかったですね。

――狙いにいっていないからこそ、おもしろいというのもあるんですかね?

とんず:そうですね。おもろいと思っている線がズレているのがおもしろい。ピンネタとかはヤバくて。気持ち悪いネタやってましてね。

といろ:気持ち悪くないやろ。お嬢様ネタみたいな感じで、言葉遊びするネタだったんです。

とんず:どこがや! そのお嬢様ネタっていうのが「面接のときに、賄賂で株式のほうの『株』を渡さないといけないのに、球根の『カブ』を渡しちゃいましたわ。まさに晴天の霹靂!」……どんなネタ!?

――(笑)。「晴天の霹靂」はブリッジで。

といろ:そうです! おもしろい言葉遊びですよね。

とんず:違う、ただのバグ。といろさんはバグってるだけ。発想はおもしろいんですけどね。一個先に行きすぎてわからん感じがあるんです。伝わってなくてウケてないのか、単純に面白くなくてウケてないのか……二択ってよく言いますけど、といろさんの伝わってなさがエグかったですね。

先輩のネタは見ないようにしてます

――といろさんも最近は少しずつお笑いがわかってきたんですよね。

とんず:それがちょっと寂しいんですよね。ついに小ボケも覚えてきて。YouTubeでファッションの紹介をするときに「これは本当に素晴らしい服です。こちらはイオンで買いました」みたいな小ボケを入れだして、わかりやすくなってきたなとは思いますね。それをナメた顔しながら言うんですよ。“これでいいんでしょ?”みたいな感じが鼻につく。

▲といろが少しずつお笑いがわかってきたことを寂しいと表現するとんず

――ネタを作るにあたって、とんずさんが影響を受けている先輩芸人やネタはありますか?

とんず:あえて見ないようにしてますね。やっぱり口癖とかうつっちゃうので。

といろ:意図してなくても似てるって言われることもあるよね。

とんず:よう言われるのは、金属バットさんとか尼神インターさん。でも、全く見ないようにしていて。偶然似ることはあると思うし、そんなん言い出したら、誰しも何かしらに似てる部分ってあるんじゃないですかね。

といろ:それはそうやね。

――ネタというより、見た目やキャラクターで似ている、という方が多いのかもしれないですね。

とんず:そうですね。似ているって言われる芸人さんは、私たちみたいな偏見ネタやってないんで。吉本がお金を出して作家さんにネタを書いてもらってるって書き込みがあったり。

――それは頭にきたんじゃないですか?

とんず:先輩にもめっちゃ心配されました。でも、怒ってないというか。逆に作家が書いているくらいのクオリティのネタだったってことですよね。

といろ:たしかにね。うれしいことではある。

とんず:若手芸人のために吉本がお金出して作家雇うかー!!