日曜劇場ドラマ『仰げば尊し』にレギュラー出演

――そんな奈良岡さんが女優、タレントに方向転換したキッカケはなんだったのでしょうか。

奈良岡 1年間くらいでコンビは解散したんですけど、そうすると当時の吉本のルールとして3か月以内に再登録の届けを出さないと所属解消になると言われて。だから、ピン芸人とし再登録をしました。当時は神保町花月でやっていた芸人たちの舞台演劇にも出ていて、女性芸人のなかではカワイイとされていた私がヒロインを任せていただくことが多かったんです。

そのタイミングでTBS日曜劇場『仰げば尊し』のオーディションを受けさせていただくことになり、中学生の頃に吹奏楽部でチューバをやっていた経験が活きて、チューバ役の学生としてレギュラー出演することが決まりました。方向転換したのはそのときからです。

その後「芸人なのか芸人じゃないのか」という微妙なラインで活動を続けるのは気持ち悪いなと思って、吉本の俳優班に移動しました。YouTubeに関しては、コンビ結成1年目のときに、吉本のスタッフさんに勧められて、それが今も続いているという感じです。

 

――チャンネル登録者数は68万人を超えています。支持されている理由はなんだとお考えですか。

奈良岡 親戚の子どもって無条件にかわいいじゃないですか。私もめちゃくちゃ美人じゃないですし、動画内でゲップをするくらい汚いところもあります。それでも見てくれるのは「親近感」じゃないかなと思います。

――視聴者の男女比率はどのくらいですか?

奈良岡 96%が男性です。だから、この4%は貴重です! 作っている動画は、基本的に男性向きとして制作しているので、こちらの意図と合致してうれしいです。この10年間で、女性ファンを増やそうとメイク、ファッション動画などトライしましたが、ダメでした。だから「女性向けに作っているコンテンツだけど男性が見てるよね」という動画を配信しています。

――ファッションもお好きで、かなりの数の服を所有されているそうですね。現在、最もこだわっているファッションアイテムは?

奈良岡 靴です。昔は服で、トレンドに応じて買えばいいと思っていたんですけど、おしゃれは足元からと言いますし、いい感じの物を履いておけば、それ以外は安い服でもいいじゃんという考え方に変わりました。

――現在、マルチに活動されていますが、奈良岡さんがやっていて一番楽しいと思うことを教えてください。

奈良岡 俳優業です。日常が演技だと思っているので、YouTubeに関しても「YouTuberの芝居」という感覚です。日常生活でも、初めて会う人に対してはどうとでも作れるじゃないですか。いい人っぽく見せたり、どうでもいい人にはそっけない態度を取ったり。それも含めて演技だと思っているので、芝居をしている時が一番楽しいです。

――演じたい役柄はありますか。

奈良岡 強いて言うなら悪い役をやってみたいです。ドラマや映画を見るときに、闇のある役を演じるのがうまい人はかっこよくて、ついつい目がいっちゃうんです。最近でいうとドラマ『あなたの番です』(日本テレビ系)の奈緒さんにはめちゃくちゃ引き込まれました。

 

――銭湯の番台にも立たれているということですが。

奈良岡 接客モードにはなっていますが、どちらかと言えばナチュラル寄りだと思います。私が番台をやっているのは、地元にある銭湯で、もともと大好きだったんです。あまり忙しくないので、動画の編集をやりつつ、お客さんが来たときにチケットをもらってタオルを渡して「こちらどうぞ」という流れです。

――銭湯の番台をやっていて面白いと思うことはなんでしょう。

奈良岡 銭湯って地域のコミュニティなんです。「ひとりでお風呂入れるの?」っておばあちゃんも来られるんですけど、待ち合わせをしているわけでもないお客さんたちが誘導して、背中を流してあげたりしているんです。

コロナが大変だった時期、お客さんは減ったんですけど、お風呂場で「コロナ怖いわね」って大声でしゃべっているから“オイッ!”と思いつつ(笑)。でも、それでいいんだなとも思いまいした。ご近所さんの憩いの場で、来るのが当たり前になっている、あるべき姿だと働いて感じました。

――そのほかに動物保護活動もされているそうですが、何がキッカケだったのでしょうか。

奈良岡 保護活動というとかっこよく聞こえますけど、猫や犬を常に40匹くらい飼っている知り合いがいて、その人から「手伝ってくれない?」と頼まれて一時的に預かったのが始まりです。今は犬が3匹に、猫が6匹いるので、私を入れて10人家族になります(笑)。

猫6匹、犬1匹は保護したもの、あとは一般家庭で生まれた犬です。30~40匹を飼えるキャパはないので、自分ができる範囲で、話があれば受けているというレベルです。そんなに頻繁には出会わないんですけど、道端にいた捨て猫、犬を頑張って捕まえて、保護したことは何回かあります。