暗いコロナ禍の世界を明るくしたかった

――まぜそばの味にハマり、文化にハマり、傾倒していくなかで、ついに自分のお店をオープンされるわけですが、そのきっかけについても教えていただけますか?

松本:一緒にお店をやっている相方は、地元のバンド友達なんです。彼は昔から仕事として調理をやっていたんです。昔からずっと「誠治さんの名前でラーメン屋をやったら面白そうなんだよね」と言われてました。“そんなのがあったら面白いね”くらいではいたんですけど、時を経て、大人になり相方も自分でお店を構えたり、いろんなことをやり始めていくなかでコロナ禍がやってきたんです。

その頃のSNSのムードが好きじゃなくて。明るいニュースがなくなっていき、SNSにも辟易としちゃうな……というとき、急に相方が「マジで算段がついたから、ちょっと一緒にやろうよ」と言われ、世の中のエンタメの暗いムードも変えたかったし、何より面白そうだから「やってみようか!」ということになった。

――なるほど。

松本:それで試食会をしたんですけど、その時点で今のまぜそばと近いものはできていて、“これ売れるじゃん!”と思いながら食べてました(笑)。そこから僕もチョロっとだけ意見を出せて貰って、オープンしようということになったんです。

スピード感もすごくて、「再来週にオープンしよう!」という感じで、全て手筈が整っていて、俺がOKすることを見越していて、逆に策士すぎるなって(笑)。相方は絶対に自信があったと思うし、僕は僕で急にコロナ禍で、逆張りみたいに店を始めたことを笑ってもらえるかなって。

――松本さんのサービス精神というか(笑)。

松本:そうですね(笑)。でも、そういうスピード感でしたから、自分のSNSで告知して、知っている人たちが来てくれたらいいかなと思っていたら、音楽ナタリーの方が「そういうお店をするならコメントをください」と連絡してきてくださって、コメントを書いて送ったら、当時アップされていた音楽ニュースのなかでも上位だったんです(笑)。だからきっと、みんなも少し笑える、明るいニュースが見たかったのかなと。

▲多彩なメニュー

ミュージシャン仲間たちからの感想

――the telephonesのメンバーの方たちの反応はいかがでしたか?

松本:相方もthe telephonesと対バンしてたようなヤツなので知り合いですし、みんな「はやっ!」と言ってましたけど、「あいつはやりそうだよな(笑)」と言ってましたね(笑)。

――the telephonesは地元に愛情があるバンドというイメージなので、大宮でやっているというのがすごくいいなと思います。

松本:そうですね。バンドの生まれとしては北浦和ですが、僕個人としては大宮で月1でレギュラーでやっているDJパーティーがあって、大宮も大事な街です。444quadという……今はシーシャバーになっていますけど、昔はクラブで、そこで僕はDJの経験を積ませていただいたんです。そのほかにもmore recordsというインディー専門のレコ屋があったり、逆口にはNACK5があったり……。地元の情報の集合地であり発信地でもあるこの場所で、飲食店として一助になれたらと思ってます。

――ちなみに、メンバーの皆さんやミュージシャン仲間に振る舞われたことはありますか?

松本:ありがたいことに、ストレイテナーのナカヤマシンペイさんが来てくれて「美味い……でも遠すぎる!」って言われました(笑)。あとは、Dragon Ashの櫻井さんとかも食べに来てくれましたね。

ラーメン好きとして知られるBRAHMANのRONZIさんも来てくれました。RONZIさんは粋でしたね、サッと来て、お祝いを渡してくれて、食べてすぐ「じゃあね」と言って帰る。すごくカッコいいなと思いますね。僕の周りには粋で格好良い人達が多いです。