NewsCrunch編集部うちのユーザー様がブームを作ってる！
――pixivコミックストアさんで売れてる本があれば教えてください。
角脇 異世界ファンタジージャンルと『チェリまほ』ですね。
都志見 どの書店さんでも異世界系って人気が高いと思うんですけれど、その波がだいぶ早くから来ていたなっていうのはあります。
――先ほどから話題になってる、感度が高いユーザーの方たちの開拓者ぶり。
角脇 たとえば“悪役令嬢”は、今ではすごく人気なジャンルですが、話題になる前からうちでは売れていたんですよね。取次さんからも、初めは「他の書店では見られない動きですね」だったのが、時間が経つにつれて「他の書店でも売れてきてますよ」といったことがあったりしました。これはうちが仕掛けたというよりも、ユーザー様の感度がすごく高いってことなんだと思うんです。
――pixivコミックさんの動向を見ていれば、次がわかるみたいな。
都志見 取次さんにも、うちで売れ始めている作品が１年後に他の書店でも売れる作品になる、とおっしゃっていただいて。
――すごい！ 未来の書店じゃないですか。
都志見 うちのユーザー様がブームを作ってると言っても過言ではないのでは？ っていう話をよく社内でしてます。
――最近だと派生ジャンルも増えてますよね。『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった』は私も知ってたんですけど、この『ヴィクトリア・ウィナー・オーストウェン王妃は世界で一番偉そうである』は初めて読みました。
〇ヴィクトリア・ウィナー・オーストウェン王妃は世界で一番偉そうである
都志見 ３月に無料連載が始まった作品なんですけれど、掲載初期からかなり人気が高くてランキングの常連作品です。
――売上ランキングを見ていると、上位は異世界や悪役令嬢とかが多かったので、そこが他の書店と違うところかなと思いました。
角脇 たしかに売れ行きの傾向は、他書店さんとはかなり違うと思っております。誰もが知っているビッグタイトルの発売月は、ほとんどの書店さんでその作品が１位になると思うんですけど、うちでは協業作品が１位を取っていたりするので、そこに大きな違いがあるかもしれないですね。
――最近だと、異世界でも追放系の人気が出てきたみたいな話を聞いたんですが？
都志見 そうですね、安定して読まれてます。１年半ぐらい前までは、この異世界の波はいつ終わるんだろうって思っていたんですけど、ここまできたらジャンルとして確立しているので、すぐに落ち込むことはないなと思ってますね。
――『チェリまほ』についてはどうでしょう？
都志見 ドラマ化で世の中からの注目度も上がりまして、そのタイミングでかなり売上が伸びました。
――私もドラマを見て、ときめきを覚えました。
都志見 ドラマ良かったですよね、本当に。昨年の12月は世間では『鬼滅の刃』の最終巻発売が話題でしたが、うちのランキングでは『チェリまほ』の最新刊が１位でした。
――それはすごい！
“賞のレベルを超えてる賞”をあげたい作品
――先ほど、お二人の好きなマンガのジャンルは聞いたんですが、アツい青春系とかの方向性が似てるのかなって思ったんですが。
都志見 方向性は似ているんですけど、実際に好きなマンガのタイトルを挙げていくと全然かぶらないですね(笑)。
角脇 たしかに。
都志見 私は少女マンガ系がメインで好きなので。
――角脇さんが『あおぞらとくもりぞら』をすごく推していると聞いたんですが。
〇角脇さんがオススメの『あおぞらとくもりぞら』
角脇 はい、この作品がすごく好きなんです。もともと三秋縋さんの小説が原作で、イラストレーターのloundrawさんがマンガとして練り込んで、pixivに投稿された作品になります。
先ほど話した投稿作品を読むっていう楽しい仕事があるんですけど、そのときに表紙がパっと目に入ったんですよ。すごく綺麗な作画だなと思って読んでみたら、最初の数ページですぐに引き込まれてしまって、読む手がそのまま止まらず気付いたら会社で泣いてたんです(笑)。
うちの部署では、有志の社員が好きなマンガをプレゼンする場があるんですが、そこでも推しました。初めて読んだときの体験が忘れられなくて……、ちょっと語りだすと止まらなくなっちゃいますね(笑)。
――月例賞の“賞のレベルを超えてる賞”っていう賛辞もいいなと思いました。
角脇 もう本当に賞のレベルを超えている作品だと思いますね。
――熱いプレゼンありがとうございました。都志見さんは『なまいきざかり。』を推されてますね。
都志見 はい、そうですね。私も好きな作品はいっぱいあるんですけれども、そのなかでも特に推したい作品です。“THE正統”って感じの設定の少女マンガなんですけど、甘えてくる彼氏に対して女の子がすごく冷静で、コメディとしても面白く読めるんです。恋愛マンガではありますが、男性にも好まれやすい作品です。
――私もときめきました(笑)。
都志見 21巻と長く続いているんですけど、作品のクオリティがぶれなくて、安定して面白いのも作品の魅力だと思ってます。