テスト休みだったから参加できた運命のオーディション

――お仕事の話をお聞きしたいのですが、これまでの坂本さんのお仕事のなかで、ご自身で転機になったと思うのはなんでしょうか?

坂本 どの仕事も思い入れがあるんですが、高校3年生のときに出演した『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』という舞台で、藤丸立夏役をやってからは、お芝居に対する感覚が180度変わりましたね。

――どういうところが変わったんですか?

坂本 これまでも「作品に対する考え方や捉え方が変わってるね」と言われることはあったんですけど、きちんとそこに向き合ってくださったのが、この舞台の演出家の方で初めてだったんです。変わってるね、で終わるんじゃなくて、一歩踏み込んで「あ、なるほどね、そういう側面もあるかもね」と言ってくれる方だったので、それまでは他の方のお芝居に付いていくのに必死だったんですけど、恐る恐る自分の演技プランとかを伝えてみたんです。そうしたら、きちんとそれを取り入れてくれて。私の役はダブルキャストだったんですけど、そういう対応をしてくださって自信にもつながったし、そのあとでお芝居が面白い!って思うこともなかったかもしれないです。

――そういう作品やスタッフの方に10代の頃に恵まれるのは、とても幸運なことですよね。

坂本 はい、この前出演させていただいたドラマ『My Power Foods』もすごく勉強になりました。オーディションが食べている映像を撮影して送る、というスタイルだったんですけど、リモートで撮影することになって、マネージャーさんと丸一日かけて納得いくものを作りました。例えば、どっちかに偏った噛み方は綺麗に見えないし、口の中いっぱいに頬張るのも可愛いけど、選ぶ側のことを考えると“選ばないよね”、とか。この仕事のおかげで、普段から噛み方はとても気をつけるようになりました。

――お話を聞いていると、坂本さんはストイックなんだなと思いました。

坂本 ストイックなんですかね? でも、アドバイスはわりと素直に“そうだな”と思うほうかもしれないです。少しでも良くなりたいんですよね。ただ、このオーディション動画を撮影するときに、食べ物を選べたんですけど、何を思ったかザンギ、こっちで言う唐揚げを選んでしまって、“何もよりによって、今こんな食べにくくて喋りにくいものを選ばなくても良かったのに……”って、あとから後悔しました(笑)。

――(笑)。それでも受かったんだから、練習の賜物でしたね。これまでの人生で、家族でもいいですし、お友達でも、お仕事で出会った方でもいいんですけど、印象に残ってる言葉ってありますか?

坂本 さっき話した転機になったという、舞台『Fate/Grand Order THE STAGE -絶対魔獣戦線バビロニア-』で、オーディションの面接官の方に言われた「肩上がってるよ」っていうひと言ですね。

――それはどういう意味ですか? 緊張してるよ、みたいな意味ですか?

坂本 意味としてはそうなんですけど、なんでこの言葉が印象に残ってるかというと、このお仕事が決まった経緯がちょっと運命的で、私が学校のテスト期間で平日だったんですけど、たまたま休みだったんです。そしたら、マネージャーさんから「今日オーディションに行ける?」って言われて。その日に面接に行って、そのときに面接官の方に「肩上がってるよ」って言われたんです。私、鳥肌が立っちゃって。なんでかというと、うちの両親も、昔から私によくそう言ってたからなんです。

――へー! それはすごい!

坂本 そこで“え! え! なんで!?”ってなっちゃって、オーディションの後半よく覚えてないんですけど(笑)。大人になって子どもの頃のビデオを見ても、たしかに私って、いつも肩が上がってるというか、すごく力んでて、それを両親は“力抜いて”って意味で「肩上がってるよ」って言ってくれてたと思うんですが、それを初めて会った人に見抜かれて……。そもそもタイミングが合わなかったら、オーディション自体受けられてなかったし。そんな作品が、私にとって重要な作品になったので、とても印象に残ってます。

――この先、坂本澪香物語が作られるとしたら、ここはかなり大きな山場になりそうですね! それでは、今後の活動目標を教えていただけますか?

坂本 3年後に芸能生活10周年になるんですけど、そこまでに残したいことがあって。ひとつは写真集を出すこと。もうひとつは自分の代表作となるような映像作品に出演すること。あと、自分はダンスができるのが強みだと思っているんですが、殺陣を習っているので、それも強みに追加できたらいいなと思っています。

――素晴らしいですね、プライベートでは何かありますか?

坂本 仕事の日もオフの日も変わらずに朝5時に起きるんですが、休みの日は朝ごはんを作って、掃除して洗濯機まわして、みんなは嫌がるんですけど、水回りの掃除も大好きで。だから、休みの日も目的がない限りは家にいますね、貯金!貯金! です(笑)。

 

プロフィール
 
坂本 澪香(さかもと・みおか)
2000年7月20日生まれ。北海道出身。特技はダンス、趣味は映画鑑賞、DJ。「2015ミス・ティーン・ジャパン」にてグランプリを受賞し芸能界へ。福岡アジアコレクションでモデルデビューを経て、ドラマ、映画、舞台で女優としても活躍。公開待機作に映画『パラフェリアサークル』(仮)がある。Instagram:@mxshiroxsocka_s1278、Twitter:@Sakamoto_720