バイきんぐ西村 キャンプが好き過ぎて山を買った

キャンプにハマり、山まで買っている「バイきんぐ」の西村瑞樹が書いてしまった不思議なエッセイ。アラフォー芸人のリアル、ちょっとした事件、趣味のこと。有益な情報は一切ないが、なんだか読んだ後ほっこり元気になれる。鬱々とした日々を送っているビジネスマンにぜひ読んでほしい。今回は待望の初冠番組について。

※本記事は、西村瑞樹:著『ジグソーパズル』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

芸人の憧れ、初の冠番組はまさかのピン

芸人の道を志した若かりし日のあの頃に思い描いた夢の数々。そのなかの１つに自分たちのコンビ名がテレビの番組名に付く、つまり「冠番組を持つこと」がある。

そしてその夢がようやく現実のものとなる日がやってきた。

芸人を目指してから苦節23年目、42歳のおじさんの新たな門出。

お赤飯を一升炊きして釜ごとかっ喰らいたい気分だ。夢の冠番組、その名は『西村キャンプ場』。広島ローカルの番組だ。

初の冠番組はまさかのピンでの出演。

さらに単なるバラエティ番組ではなくキャンプに特化した番組で、僕がいろんな場所でただひたすらキャンプをするだけという攻めに攻めた番組内容なのだ。

昨今のアウトドアブームの勢いにあと押しされているところもあるが、何よりも僕を起用した番組制作部、またそれにゴーサインを出したテレビ局上層部の思い切った決断に感謝するしかない。

いったい誰がこんな展開を予想していただろうか？　

暇だから何か趣味を持とうとして始めたキャンプがレギュラー番組になるなんて。これがもしキャンプではなく編み物や陶芸といった趣味だったら、到底番組にまでなっていなかっただろう。

もしもタイムマシーンがあるならば、ダウンタウンさんに憧れてこの世界に入った19歳の自分に会って教えてやりたい。

「お前はダウンタウンにはなれない。その代わり、お前は趣味でキャンプを始めてキャンプの冠(かんむり)番組を持てるようになる」

おそらく若い僕はパニックになるだろう。思い描いている夢のだいぶ斜め上、いや斜め下に行っているのだから、すごいショックを受けるに違いない。

最終的にはキャンプ場を開きたい

しかしまだ、あともう１つ伝えなきゃならないことがある。

「お前はキャンプが好き過ぎて、山を買ったよ」不敵な笑みを浮かべながらとっぴもないことを話す未来の自分に、19歳の僕は恐れをなし、泣き崩れるであろう。

そう、実は僕、テレビ番組の企画で、ある山の一画の土地を購入したのです。

誰にも邪魔されることなくいつでもソロキャンプができるようにキャンプ専用の土地を手に入れたのです。

ちなみに隣接している区画も仮押さえしてもらっているので、いずれはこの土地に生えている杉の木を使ってツリーハウスやログハウスを建てるつもりだ。そして、最終的にはキャンプ場を開きたいと思っている。

たまに「自分はいったい、どこに向かってどこに辿り着くのだろうか」そんな疑問が頭をよぎることがある。将来への不安がそう思わせるのか？　

いや違う。将来自分がどうなっているか想像がつかないからこそ面白いし、やりたいことがたくさんあるなかで、たとえそれら全てが実現できなかったとしても考えるだけで楽しいのだ。最後に、19歳の自分にこれだけは言ってやりたい。

「10代のお前なんかより、40代の今の俺の方が何倍もワクワクしてるぜ」

〇西村キャンプ場

西村キャンプ場 | TSSテレビ新広島

そんなこんなで、レギュラー化。毎週土曜 午後5時放送。人気お笑いコンビ「バイきんぐ」の“じゃない方”、西村瑞樹が、趣味のキャンプをた…