NewsCrunch編集部配信をアーカイブとして残さない理由
――テレビ番組の「コンテンツ」としてはどう考えていらっしゃるのでしょうか？
日置 いま配信全盛期で、M-1（グランプリ）の準決勝も生配信にして、さらにアーカイブも残していますが、THE SECONDの予選は生配信のみ。アーカイブは残さなかったんです。理由としては、決勝の生放送では、優勝するまでに3ネタやらなきゃいけないんですが、アーカイブに残すと、芸人さんのネタをすり減らしてしまうことになるんですよね(視聴する人が増えてネタバレになる)。
あとは16年目以上の芸人さんが持ってくるネタって、基本は寄席でやっているネタで、商売する道具だから、それを僕たちがコンテンツにして、オープンにしてしまうのは気が引けたんです。もし、来年以降もやる場合でも「これが自分たちの中での鉄板ネタで、これで優勝したいんだ」と同じネタで臨みたい芸人さんもいると思うんですよ。
とにかく生放送が成功すること、決勝が面白いことが一番大事だと思ってるので、今回ばかりは、とりあえずそうしました。「なんでアーカイブしないの？」「バカじゃないの？」とかすごい言われるんですけどね(笑)。
――いや、とても素晴らしい考えだと思います。
日置 本当は会社にお金を入れなきゃいけないんですけど(笑)、お金稼ぎは度外視して、まずは生放送を成功させて、芸人さんたちが「来年も出たいな」と思ってくれる番組にすることが一番の課題なんじゃないかなと思っています。
――M-1との差別化で意識していることはありますか？
日置 僕は、人生をかけて、命をかけて、死ぬほどピリピリした状態で漫才をやるのがM-1だと思っていて。それはなぜかと言うと、15年目までに優勝しないと、もう出られなくなるからなんですよね。いわば甲子園。
THE SECONDは、どちらかというと社会人野球で、引退しないかぎりは出られる。もちろん社会人野球も必死にやられているんですけど、大会にお祭り感があって、売れるきっかけ、注目されるきっかけになる番組になればいいなと思っています。
――5月20日には最終決戦のグランプリファイナルが行われます。ファイナリストを8組にした狙いは？
日置 決勝に何組残すかを考えたとき「4組では少ないし、やっぱり8組だよね」と話をしました。僕は『ドラゴンボール』世代なんですが、天下一武道会も8人でやるんですよ。やっぱり「8」がベストかなと。本当は2ネタで十分なんですけど、「最強の2ネタやったあと、3ネタ目に何を持ってくるのか？」というのは、僕たちもすごく楽しみにしています。
ノックアウトステージでも、前日に優勝候補が負けたと聞いたあるコンビが、自分の対戦コンビを見て「ボケ数を増やした漫才にしよう」と直前でネタを変えたそうなんです。対戦相手の妙もあって「この相手だったら、このネタのほうがいい」という駆け引きも楽しめるんじゃないかなと思っています。
――優勝者が決まったあとの展開は、何か決めていらっしゃるんですか？
日置 フジテレビのゴールデン、情報番組も含めて、いっぱい出てもらいたいなと思っています。少なからずバラエティ制作センターのなかでは「みんなで応援しよう」と話していますね。他局さんが起用してくださるかは神のみぞ知るところなんですけど、でも、ベテランさんは少なからずおしゃべり上手な人、芸達者な人が多いから、大丈夫だろうなと思っています。
――生放送に向けて、いまの日置さんの胸中を教えてください。
日置 初めてのことなので、芸人さんや視聴者さんにとって「納得のいかないことが起こるかもしれない」というのは覚悟しています。最終的に“やってよかったな”と思えるものが放送されれば、それでいいのかなと思いますし、僕は150点を目指してつくりますけど、それでもきっと75点ぐらいに着地しちゃうんじゃないかと思っています。(プレッシャーもあって)生放送を失敗する夢とか見ますよ(笑)。
――(笑)。最後に注目してほしいポイントをお願いします。
日置 「芸人さんがお互いこんなにリスペクトしていたんだ」とか「涙を流したり、悔しがったりするんだ」というところに注目してほしいです。予選のノックアウトステージでもそれは伝わっていますが、この雰囲気が生放送でもちゃんと出たらいいなと思っています。
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＜番組情報＞
フジテレビ開局65周年×吉本興業110周年 特別番組『THE SECOND～漫才トーナメント～』
グランプリファイナル：5月20日(土)19時～23時10分 ※生放送
【司会】
東野幸治
宮司愛海(フジテレビアナウンサー)
【リポーター】
小室瑛莉子(フジテレビアナウンサー)
【アンバサダー】
松本人志
【グランプリファイナル出場者】
囲碁将棋
金属バット
ギャロップ
三四郎
スピードワゴン
超新塾
テンダラー
マシンガンズ
※五十音順
〇THE SECOND～漫才トーナメント～ オフィシャルサイト
