「遠く離れた場所で、今日も彼女が幸せでありますように」

今まで感じたことのない不思議な感情が湧き上がってきた
それから、2人が九州の名物を食べたいと言うので、馬刺しを頼もうとした時、私が(これ食べられるかな…)と言葉に出すより先に、その子が言った。
「あ、馬刺しひーちゃん苦手かもね」
「確かに…じゃあやっぱやめとこっかな」
「まあでも、食べられなかったら私が食べるから。せっかくだから頼もうよ」
その瞬間、かつての私が当たり前に担っていたその立ち位置には、今は他の人が立っているのだとはっきりと悟った。
食事中も、その子は私とひーちゃんが昔話をしたり、他愛もないことで盛り上がったりするのを、ずっと隣でニコニコしながら聞いてくれていた。
ふと見えたその子のひーちゃんに向ける眼差しは、ひーちゃんの性格を分かった上で、彼女の存在そのものを可愛がっているのが一目で伝わってくるような、本当に優しいものだった。
その時、今まで感じたことのない不思議な感情が湧き上がってきた。
私が福岡へ行って離れてしまった空白を、優しく、大切に埋めてくれた人。ひーちゃんを丸ごと受け入れてくれる人が今、彼女のそばにいてくれる。その事実がたまらなく嬉しくて、ただただ、安心した。

今まで感じたことがないくらい温かな幸せに包まれていた
楽しい時間はあっという間で、2人が帰るのを見送ったあと、私は1人で夜道を歩いていた。
不思議なことに、解散したあとの心は、今まで感じたことがないくらい温かな幸せに包まれていた。
私は、彼女の人生の一番近くからは、少し離れてしまったけれど。自分じゃなくてもいい。私の大切な人が、大切にしてくれる誰かと笑っていればそれでいい。
私は本来、そんなにキザなことを考えるようなタイプじゃない。冷たい夜風に当たりながら帰る道すがら、そんなことを思っている自分に驚いた。
遠く離れた場所で、今日も彼女が幸せでありますように。
帰り道、ポツリとそんなことを願ってしまった。

次回のHKT48 梁瀬鈴雅「鈴の音」は、6月末更新予定です お楽しみに!!
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- 写真 :
- 谷川 嘉啓













