自分に嘘をつかないモノづくりを徹底する錦織一清。初の映画監督まで多才ぶりを発揮
5月にソロ名義で2度目のカバーアルバムをリリースし、写真集&カレンダーも発売。今後は映画監督にも初挑戦する。その多才ぶりに拍車がかかっている彼に話を聞いた。


還暦を超えて映画監督に初挑戦! どんな気持ちで臨むのか?
――舞台演出だけでなく、映画でも初監督に挑むことが決まっていますね。もともと映画俳優に憧れていたという錦織さんですが、満を持しての監督としてクレジットされるご感想を聞かせてください。
錦織:失敗したら「さようなら」だろうな(笑)。
――それは覚悟という意味ですか?
錦織:そりゃあ、そのつもりじゃないと作れないですよ。
――錦織さんでもプレッシャーは感じるんですね。
錦織:いつも感じてます。1回コケたらもうダメだろうなって。僕はスピルバーグでもなんでもないから、僕がやれば絶対なんてことはありえない。だからこそ本気で作ってます。明日がない仕事をやってますから。自分に魅力がなくなって面白くなくなったら淘汰されればいいと思っているところもあって。次から次へ、他にも色んな人が出てくる世界だし。

――それでもこうやって長くキャリアを積まれてるということは、錦織さんがそれだけの魅力を放っているという証左です。そんな錦織さんの初監督作だけに、期待をつのらせている人も多いはず。『僕は瞳に恋してる』という仮タイトルが発表されていますが、どういう作品になりそうですか?
錦織:題材は急性骨髄性白血病なんですが、それはプロデューサーさんの意向なんです。そのプロデューサーさん自身に、急性骨髄性白血病の娘さんにドナーがみつかって助かったという経緯があって。その恩返しのつもりで映画を作ろうとしている方なんです。
「映画を観た若い人たちにインプットしてもらってドナーを増やさないと」という思いがあって。僕はその話を聞いて、じゃあ、やってみよう! と。プロデューサーからは「病気が題材ですが、元気な作品を作ってください」と言われているので、エネルギーに溢れた作品が作りたいですね。
――映画監督ができるから引き受けたというより、そういうプロデューサーの想いに惹かれて引き受けたということなんですかね。
錦織:そうですね。映画監督としては、まだ自分で心当たりを見つけられないですから。舞台しか作っていないのに、なんで僕を選んでくれたのかな?
――錦織さんご自身は、初めてのことに挑むということはどういう風に受け止めていますか? 世の中的には「還暦超えにして新しいことに挑む!」というニュース性がある出来事ですが。
錦織:嘘をつかないようにします。よかろうが悪かろうが。評価がどんなことになっても「僕は嘘をつかなかったんで」というものになればいい。周りに合わせよう、合わせようとして、ギミック、仕掛けものに頼るんじゃなくてね。そうじゃないと『男はつらいよ』の寅さんが好きな自分を裏切ることになっちゃうから。
やっぱり人情って日本人の必殺技なんですよ。英語だとヒューマニズムって言うのかな? でも、その英語で言う人間性とか人間らしさとも、人情って違う気がしませんか?
――そうですね。もっとウェットな感覚があるかもしれません。
錦織:英語じゃ置き換えられないものなんだよね。最後は「みんな頑張ってる」という、そういう人情が伝わる映画にしたいです。つかこうへいさんの作品も最初は笑わせているけど、最終的には登場人物はみんな勇敢に生きる姿を見せるんだよね。勇気を持って生きる……そういう姿を僕の映画でも見せられたらいいですね。
――楽しみにしたいです。そんな錦織さんの写真集&カレンダー『言魂-10カラットの呟きと共に-』が出たことも話題になっていますね。
錦織:でも、全部AIですから(笑)。
――いやいや(笑)。渋いお写真とともに綴られた“10の呟き”も錦織さんらしい言葉が並んでいます。どんな時に浮かんだ言葉なんですか?
錦織:なんとなく画像を見ながらとか、ちょっとした時に思いつくんですよね。写真は、カメラマンのNAITOさんが上手いこと撮ってくれたので。だから、写真集の見どころは10個の呟きです。僕の手柄はそこしかないので(笑)。

- 文 :
- 本嶋るりこ
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