チームを抜けたい僕は先輩たちの追い込みで「死」を覚悟した

お願いします! 殺されそうなんです!
どうすればいいんだ? 保護観察官は、昔の仲間と連絡をとったらダメだと言っている。三浦は後輩だったから折り返し電話をしたが、他の先輩たちには連絡をしていなかった。物音がして窓の外を見ると、先輩の車が止まっていた。電話が鳴った。
「出てこいよ。なんなら、俺がソッチに行こうか?」
家族には迷惑をかけられない。どんな目に遭わされるかはわからないが、行くしかない。電話を切って、母には気づかれないように外に出た。
「おぉ、久しぶりだな。さっきは急に変なこと言い出すから、ビックリしたぞ? あれは冗談だろ?」
「いや……」
「とりあえず皆いるから、行くぞ」
有無を言わさず、車は走り出した。車中はずっとホワイトソウルに対する復讐の話。車が止まって着いた先は、昔よく呼ばれて来ていた場所だ。そこには約10人の先輩がいた。
「聞いたと思うけど、誰が被害届を出したのかわかったんだよ」
「そのことなんですけど、今後は真面目に生きたいと思ってまして」
「はぁ? そんなの無理に決まってんだろ」
「ここに来たのも、バレたら少年院に戻されてしまうんです」
「情けねーこと言ってんじゃねーよ。だいだい出てきたら、出てきたって連絡するのが普通だろ?」
「すいません」
「で? やるだろ? ホワイトソウルのやつら」
「できません」
「なんでだよ」
「もう親にも迷惑かけられないんです」
「何が親だ、バカヤロー! マザコンか? テメーは」
罵倒をされた瞬間、顔に激痛が走った。喋っていた先輩の手にあったコップが、猛スピードで飛んできたのだ。1人だけでなく、全員が臨戦態勢に入っている。逃げないとヤラれる。入口付近に人はいない。
「どこ行くんだよ」
「いや、今後は会えないと思うんで」
話しながらジリジリと入り口に近づいて行って、全員が向かってくる前に、ダッシュで入口に向かって走った。今までギャングイーグルのリーダーだった男が、走って逃げ出すとは誰も思っていなかったからか、先輩たちは戸惑っている。
入口のドアを開けるのと同時に、後ろから音が聞こえた。追いかけてくる。あと少しで、身を隠せそうな曲がり角に差し掛かる、という時に3人の先輩が前に立ち塞がった。
「逃げてんじゃねーよ」
怒号とともに、右ストレートが顔に飛んできた。殺される。この人たちが今までしてきたことは脳に焼きついている。このままでは終わらない。そこに1台の車が通りがかった。赤信号で止まっている。今度こそ逃げなければ命が危ない。殴られながらも、信号が青になる直前に車の前に回り込んだ。
「お願いします! 殺されそうなんです。助けてください」
助手席の窓をノックして、必死に頼み込んだ。すると、運転手は鍵を開けてくれた。自分ではわからないが、鬼気迫る表情だったのだろう。普通は開けてくれない。彼が心優しいのは、言うまでもなくわかる。
「警察に行きますか?」
「いえ、大丈夫です! 少し離れたとこで降ろしてください!」
警察に行っても解決はしない。それどころか余計に怒りを増幅させてしまう。あの中の数人が捕まっても、残りの人たちは必ず復讐に来る。自分がいたチームだから手に取るようにわかる。







