「死にたい」男が予想を10倍超えるスゴい完全復活を果たした話

億単位のビジネスを成し遂げる山内くんのスゴさ
不良だった頃に陥ったピンチの話を聞いても、スケールが違った。銃を背中に突きつけられたり、チェンソーで背中を切られた過去を持つ。
チェンソーで切られたときのシチュエーションは、漫画も顔負け。敵対していたチームのリーダーにさらわれて、気づいたら倉庫の中で両腕をロープで縛られていた。上半身は裸。背中を切り刻まれたあと、殺されそうになった直前に助っ人が登場。これに比べたら、僕の不良エピソードなんて可愛いもんだ。
彼の才能は、頭脳だけではない。身体能力の高さも異常だった。学生時代に入っていた陸上部でも、結果を残している。学校をサボりがちだった彼は、部活には行っていなかった。“どうしても”という先生の頼みで、練習もせずに1回だけ大会に出たのだが、結果は全国で3位。化け物だ。本で読んだことがある。
『天才とは、1つのことに秀でている人間ではなく、多岐にわたって才能を発揮する者のことを言う』
紛れもなく、彼は天才だ。スノボーの動画を見てもわかる。短期間で恐ろしいほどの成長を遂げて、プロライセンスを取得。年契約で1億円の出資をしてくれるスポンサーもついた。もう働かなくても生きていけるが、仕事は楽しいからという理由で継続。こういう人が成功するんだ。
お笑い芸人として、30歳を越えた今も活動している自分を肯定することができた。今日まで続けてきたなかで、多岐にわたって選択肢を迫られてきた。今後も紆余曲折した場合、彼を見習えば正しい判断を下すことができそうだ。
フリーになった山内くんは、肩書き通り自由だった。仕事は楽しんでやっていたが、他のことに打ち込みたいときは、一時中断。スノボー以外に、彼がやっていたのは、ポケモンのゲームだ。コンビニの従業員の数は全員で12人だったが、半分くらいは影響を受けてポケモンをやっていた。
ポケモン以外のゲームに対する姿勢は、遊びのレベルを遥かに超えていた。賞金100万円の大会で、上位に食い込むほどの実力だ。プレイ中の動画を見せてもらったが、圧巻だった。リズムゲームで、タイミングがピッタシ合えば、パーフェクト。惜しければ、グレート。その下はナイス。外せばミス、と画面に表示される。山内くんのスコアは、難易度MAXのステージで、全てパーフェクト。グレートすら1回も出ない。大会では、1回グレートが出るか出ないかで、勝敗が決まるとのこと。連続で何曲もプレイするのだから、優勝するのは簡単ではない。
それと並行して、楽曲制作も始めた。高額の楽器をたくさん買って、置き場所がないからと言って、中野のツインタワーを契約。スノボーに行った先で泊まれるように、長野に別荘も購入。自宅はポケモンハウスのように改装をした。この辺りから、僕と店長は少しずつ、山内くんを心配するようになった。
「あまりにも散財しすぎじゃねーか? 確かに儲かってるかもしんないけど、来年の税金のこと考えてるのかな」
「そうですよね。こないだ買った車も、1000万ですもんね」
この危惧は、徒労に終わった。出費は全て、仕事で取り返す。すぐさま億単位のビジネスを契約。僕と店長は反省をした。彼の才能は、規格外。その才能を疑うなんて、野暮なことは止めよう。そう誓った。







