「たくさんいる人の中から出会い、いつの間にかお互いの人生の一部になっている。」

アイドルグループ「HKT48」の6期生、梁瀬鈴雅(やなせ・れいあ)さんの連載「鈴の音」。
この連載では、梁瀬さんがこれまでの人生で出会ってきたさまざまな「人物」について、自身の言葉で綴ってもらいました。
最終回となる今回は、SNSで目にしたある言葉をきっかけに、アイドルとファンの関係、そして支えてくれる一人ひとりへの想いをお届けします。

ファンの方からみる私たち
「アイドルはファンのことなんか頭にない。」
そんな趣旨の投稿が、何万件もの「いいね」を集めて流れてきた。
しばらく、その投稿を眺めていた。その言葉そのものよりも、それに共感する人の多さが、私には印象的だった。
そうか。私たちは、そんなふうに見えているのか。
たしかに、私はファンの人のことをほとんど知らない。知っているのは、特典会やSNSで画面に表示される名前くらいだ。本当の名前も、住んでる場所も、普段何をして、どんな毎日を送っているのかも知らない。
スマホの画面を閉じ、暗くなった部屋で、私はある日のことを思い出した。

その日は、私がアイドルになって初めてのお話し会だった。
元々人見知りな上、とても緊張していて、来てくれた人に「ありがとうございます」と返すだけで精一杯だった。
その中で、初めて「まとめ出し」をしてくれた人がいた。アイドルのお話し会には、何枚も参加券をまとめて使って、長い時間話す「まとめ出し」という文化がある。
嬉しかった。でも、その時間が始まった瞬間、頭の中は真っ白になった。
何を話せばいいんだろう。何を聞けばいいんだろう。話題が浮かばない。会話も続かない。気まずい沈黙が流れる。体感では何十分にも感じたけれど、実際は数分だったと思う。
「ごめんなさい」と思いながら、それでも何もできなかった。
- 写真 :
- 谷川 嘉啓













