小学校からの大親友とコンビを組んだ舞台で会場を笑いで沸かせた!!

中学時代の甘酸っぱいフラれ話
中学に上がると、2人とも恋をした。特に高崎たちのカップルは、クラス中の皆が羨むほどの仲良しカップルだった。そんなカップルが別れた、というニュースが流れたときは、クラス中で大騒ぎになった。高崎がフラれた理由は……
「森田剛を好きになったから、別れてほしい」
思わず爆笑してしまった。芸能人と彼氏を天秤にかけるなんて、聞いたことがない。笑っている僕を見て、高崎は烈火の如く怒っていたが、最後には一緒になって笑っていた。
僕は僕で、長い付き合いだった彼女にフラれてしまったことがある。良かれと思ってかけた言葉が引き金となった。彼女はクラスのマドンナでもなければ、飛び抜けて美人というわけでもない。それでも僕は好きだった。その気持ちを伝えるために、渾身のメールを送った。
『高嶺の花も気になるけど、足元に咲く君を見ていたい』
これは自分の好きな歌手が歌っていた、歌のワンフレーズだ。あとから考えれば、ヒドいことを言ってしまったとは思うが、当時はわかっていなかった。足元に咲く花と同じ扱いをされたら、怒るのも無理はない。これが原因で、僕がフラれたという噂を聞いた高崎は、鬼の首を取ったかのように笑った。最初は僕も怒っていたが、最後は2人で笑っていた。
そして中学3年生の夏。お互いに笑い合った僕と高崎は、2人で世の中の人たちを笑わせるために、お笑いトーナメントに出場した。自分たちのことを天才だと信じ切って、手ぶらで会場に乗り込んだ。練習なし、台本なし、覚悟なし。あったのは過剰な自信だけ。
頭が真っ白になって、唇が震えだすまでは、舞台の厳しさがわからなかった。学校の友達を笑わせることはできても、他人を笑わせることは、全くの別物だということを思い知った。ともかく過去の失敗を活かして、次こそは本気でプロの世界を目指したい。
「これから何するか、考えてる?」
「まだ出てきたばっかりだからなぁ。何も考えてないよ」
「一緒に芸人にならねーか?」
「え? 芸人?」
「そう。昔、お笑いのトーナメントに出たときのこと覚えてるか?」
「あぁ〜、中3の夏だろ? あれは悲惨だったよな」
「まあな。でも楽しかっただろ? 他にやりたいことがあるなら、ダメだけど。何もないなら、次こそは遊びじゃなくて、本気でやらねーか?」
「まあ、他にやることもねーし。やってみるか」
意外な反応だった。当時は舞台で地獄のような苦しみを味わって、相当ヘコんでいたから、断られると思っていた。もう吹っ切れているのか。とにかく善は急げ。すぐにファミレスで話をするために集まった。
「おう、高崎! 久しぶり!」
「なんでやねん! 俺は68や」
そうか。コイツも番号と名前を区別できていないのか。そんなことより……
「なぁ。お前、お笑いのスイッチ入れてきたろ?」
「なんでやねん」
「それだよ。俺たちは関西人じゃないんだから。“なんでやねん”って言わねーじゃん」
「……」
しまった。ちょっと言い方がキツくなってしまったか。今やる気を削がれてしまっては困る。僕の役目は、高崎のモチベーションを上げることだ。
「ボケとツッコミどっちやりたい?」
「別に俺はどっちがいいとかないよ」
関西弁じゃなくなった。
「そうか。どっちをやるにしても違和感のない演技力が必要だから、自分を知ることから始めないとな」
「ん〜……なんか難しいなぁ」
「ま、まあ、そうだな。いきなり難しい話しても、面白くないよな。よし。じゃあ今日はパーッとやろう」
このあと、ライブの主催者に連絡をして、今度は1人ではなく、2人で舞台に立つことが決まった。ライブは1ヶ月後。それまでは完璧に練習をして、最善の状態で舞台に……臨みたかったが、何かと理由をつけて、高崎は練習を拒んだ。不本意ではあったが、即興で舞台に立つことにした。







