小学校からの大親友とコンビを組んだ舞台で会場を笑いで沸かせた!!

先輩のおかげでリラックス! お客さんの反応は?
ここには、いろんな先輩たちがいた。暗い先輩、明るい先輩、イケメンなのに上半身裸になって、頭におっぱいの被り物をかぶった先輩。それが、“かさやん”だ。かさやんは、僕が1人で出ていた時も一緒だった。その時も同じ格好で、歯に海苔をつけていた。お歯黒に見えるようにするためだ。今日も同じ格好で、楽屋の椅子に座っている。
「かさやんさん、出番です」
「うぃ」
トップバッターで、挨拶をする時間がなくて、舞台終わりに挨拶をすることになった。かさやんは楽屋の隅で座っていた。元気がない。お腹を抱えてうずくまっている。
「どうしたんですか?」
「お腹痛くてさ」
「なんか食べたんですか?」
「うん。たぶん海苔。さっき歯に付けてたやつあるじゃん? あれ賞味期限が切れたやつを使ってんのよ。ゴミ箱がなかったから、食べたら調子悪いんだよね」
おかげで緊張感がほぐれた。馬鹿馬鹿しい格好で、真剣に弱っている姿が面白かった。高崎も笑っている。そうこうしているうちに、自分たちの出番が回ってきた。
「どうも〜」
「同級生です」
コンビ名も決まっていない状態で、咄嗟に思いついた『同級生』という名前で舞台に立った。やっつけ感満載だ。こんな状態でうまくいくのだろうか。
「いや〜、しかしうれしいですね〜。こうやって話を聞いてもらえる場があるっていうのは」
そう言って高崎を見ても、話し出す雰囲気はない。仕方なく自分から話し始めることにした。まずは自己紹介から。
「僕たちは小学校からの幼なじみで、僕が福田健悟、こっちが高崎昇です」
「なんでだよ! 俺は68だろ!」
しまった。いつもの癖で、名前で呼んでしまった。
「いや違うよ! お前は高崎だろ! 警察に捕まって変わっただけじゃん」
「言うなよ!」
クスクスと、客席から笑い声が聞こえる。
「俺は寂しいよ! 高崎」
「だから違うって言ってんだろ!」
「小学校からの親友が自分の名前を忘れたら悲しいだろ!」
「小学校からの親友に名前を間違えられるほうが悲しいわ!」
さらに大きな笑いが起きた。
「目を覚ませ!」
「お前だよ!」
「お前がなんで自分の名前を忘れたか教えてやろうか!」
「忘れてねーけどな! 忘れられてるほうだ、俺は」
「お前が自分の名前を忘れたのはな、お前が人間の心を忘れたからなんだよ!」
「……何うまいこと言った顔してんだよ」
この日の出演者のなかで、僕たちは1番の笑いを取って舞台を降りた。
「45」は、次回3/25(金)に更新予定です。お楽しみに!!
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お笑い芸人・福田健悟が綴る、自伝的ファンタジー小説。世間に迷惑をかけることは絶対にしない。社会に貢献する。自分の名前を取り戻す。そしてお笑い芸人になる――。








