コンビ解散を繰り返し…バイトを通してコミュ力を高めることにした

オバケに怒られ、またもやコンビ解散に追い込まれる
4回目のライブで、見に来ていた事務所関係者の目に留まって、名古屋のお笑い事務所に所属。今まで通りのライブに加えて、事務所ライブにも出させてもらった。
他にもオーディションや仕事の話をもらって、年末には富士急ハイランドで漫才をする機会が与えられた。フリーパスを貰って、出番が来るまでは乗り物やアトラクションで遊ぶことにした。
富士急ハイランドといえば、オバケ屋敷だ。本当にあった病院で、今は廃病院と化している建物を、オバケ屋敷として使っている。所要時間は50分。日本一長いオバケ屋敷と言われている。最初にいくつか説明をされたが、興奮のあまり聞いていなかった。いざ始まると、思っていたより怖くなかった。
ところが、中盤あたりの廊下に差し掛かったときに状況は変わった。その廊下は長さ約50メートルで、幅は成人男性2人がギリギリ通れるくらい。両サイドにある約20枚の扉は、今にも何かが飛び出してきそうな勢いで、バタバタ音を立てて開閉している。まともな神経では通れない。僕たちは両サイドにあるドアノブを掴んで、オバケが出てこないようにして走り抜けた。後ろからは、オバケが追いかけてくる。
「逃げろー!」
「待てー!」
「逃げろー!」
「ちょっと!」
「うわー!」
「ちょっと! 話があるんで止まってください」
気づいたときには、普通にオバケと会話をしていた。
「最初に言いましたよね? ドアノブは掴まないでくださいって。ルールを守れないなら出て行ってください」
結局、このオバケ屋敷で1番怖かったのは、真剣にオバケに怒られたこの瞬間だった。このあとは、なんとか許してもらって最後まで進むことができた。この頃は楽しかった。2人とも仲が良くて、ライブの反応も良かった。だが、調子が良かったのはここまで。これ以降のライブでは全て結果を残せず、コンビ間にも軋轢が生まれ始めた。
「だから違うって! もっと感情を入れろよ! ツッコミなんだから」
「そんなに言うなら、45がやれよ」
「じゃあボケできるのか? できねーだろ!」
「はぁ? なんだよ。その言い方」
「それだよ! 今みたいに、ネタのときも感情を入れろよ!」
歯痒かった。真剣にやっているからこそ、腹が立った。『45』と呼ばれたということは、自分が間違っているということだ。じゃあ手を抜けばいいのか? そんなことできるはずがない。2度目の解散。これがキッカケで、所属事務所もやめることになった。







