誰にもマネできない!? 明石家さんまから習うプロフェッショナルの流儀

人生を変えた「今の話、本にしてくださいよ」
僕は何をやっているんだ。お笑い芸人でもない安藤さんが、自分の苦しみより他人の笑顔を優先しているのに、僕は逃げていた。このままじゃダメだ。芸人かどうかは、関係ない。人間として、周りを照らす太陽のような存在になりたい。さんまさんが、何十年も人気者で在り続けている理由がわかる。師匠の笑福亭松之助さんからの教えで、給料明細は見ないようにしている、と言っていた。人を笑顔にすることは、対価をもらえるからといって一生懸命になることではない、ということだ。
さんまさんの真似をするようになっても、翔吾くんとの関係に何か変化があったというわけではないが、人間としては成長できた気がする。名前を取り戻すためには、本当の愛を知る必要がある。まだ完全には理解できていないと思うが、確実に片鱗には触れた。
おそらく本当の愛の正体は、無条件で見返りを求めないもの。今後は、何があっても全てを笑いに変えていく。そう決意して、実践していた最中のことだった。バイト中に、酔っ払っているお客さんが来店した。何やら叫んでいる。他のお客さんたちは、怖がっている。なんとかしなければいけない。
「すいません、他のお客様のご迷惑になりますので」
「なんだ、コラァ!!」
相手は急に僕の胸ぐらを掴んで、顔にパンチをしてきた。
「ナイスパンチ」とは言えなかった。続けて2発目のパンチが飛んできたときに、思わず相手の襟首を掴んで、地面に抑え込んだ。
「福田さん、大丈夫ですか!?」
「警察呼んでくれ!」
一緒に働いていた森田に、警察を呼んでもらった。あまりに突然のことで、久しぶりに力を行使してしまったが、森田には名前で呼ばれた。正当防衛に近いルールが、適用されたのか。すぐに警察が来て、事なきを得た。
「福田さん、何かやってたんですか?」
「え?」
「さっき酔っ払いの人を、抑え込んでましたけど、格闘技をやってたとか?」
「いや、格闘技はやってないよ」
「ひょっとしたら、昔ヤンチャでした?」
森田は知らなかった。僕の過去が明るみになったのは、彼が留学に行ったあとだ。山内くんが昔ヤンチャだったという話に合わせて、自分の過去を話したのが事の発端だ。結果的には、彼の話は嘘で、僕が自分の黒歴史を晒すだけの結果になってしまった。このまま隠し通すこともできるが、周りのバイト仲間たちから伝わるのも時間の問題。仕方なく話すことにした。
森田の目は、キラキラしている。話し方には注意をしなければならない。彼が触発をされて、不良に憧れてしまったらマズい。逮捕される発端になった出来事と、出所後に更生を決意した心境について、話すことにした。留置所や、鑑別所での出来事。父の面会。母の料理。祖母の一言など。
「やめてくださいよ〜」
森田は、目に涙を浮かべながら言った。うれしかった。こんな自分でも、人を感動させることができるんだ。森田は今の話を、本にしてほしいと言った。本を読むことは大好きだったが、書いたことはない。いきなり本にしてくれと言われても、何から始めればいいかわからない。彼いわく【小説家になろう】というウェブサイトで、小説を書くことができるとのこと。このサイトは登録も不要。無料で誰でも読むことができるらしい。
小山との解散後は、ネタ合わせの時間がなくなったことで、自由な時間が生まれた。それならということで、暇つぶし程度に書いてみることにした。ここから、僕の人生は飛躍的に前進する。
「45」は、次回7/1(金)に更新予定です。お楽しみに!!
「1対10」のピンチを脱した福田健悟。次はボクサーとのタイマンだ! | 「45」 | WANI BOOKS Newsクランチ!(ニュースクランチ!)
お笑い芸人・福田健悟が綴る、自伝的ファンタジー小説。通信制高校も退学した福田健悟に争いの仲裁依頼が舞い込む。そしていつしか恨みを買っていき、ついに試練が訪れる。








