駅ナカ海鮮とアナコンダ寿司
お布団で反省文
ぱーてぃーちゃん・すがちゃん最高No.1、はじめてのエッセイ連載。日常の小さなクヨクヨを綴った、布団の中で書いた反省文。

芸人には“営業“と呼ばれるジャンルの仕事がある。
ざっくり説明するとショッピングモールやお祭りイベント等で、ネタやトークをする事だ。

この“営業“で全国各地色んな所に行くのだけど、飛行機や新幹線で当日の朝現場に向かい、昼と夕方に2回ステージに出て、そのまますぐ東京に帰るというのが基本的な流れなので、その土地の名産品を食べる機会がほとんど無い。
たまに夕方に仕事が終わって新幹線の乗車時間を変更すれば、駅付近のお店でご飯を食べる事もできるのだけど、時間を気にしながらご飯を食べたりお酒を飲むのがどうも落ち着かなくて、だったら東京でゆっくり食べようとなってしまう。
ただそんなゆっくりご飯楽しむ派閥リーダーのすがちゃんが何がなんでも食べたいと思うものがある。
それは海鮮だ。
もう週6回はお刺身や寿司を食べるほど海鮮が好きで、多分海の生物達には天敵扱いされているだろう。
だから海が近い海鮮の美味しい土地では何がなんでも食べたいと思うのだけど、これがそう簡単では無い。
以前富山に行った時、富山は駅ビルの中に沢山お寿司屋さんや海鮮丼のお店がある海鮮パラダイスの街だ。
そんなパラダイスに海鮮ボーイの胃袋を躾けれる訳もなく、夜東京で予定があったのでギリギリ間に合うように、帰りの新幹線を1時間遅らせて、海鮮と戯れ合うことにした。
10分使ってお店を吟味して良い感じのお寿司屋さんを見つけた。
残り時間は40分。移動とお会計を入れたら30分。余裕だろう。
お店のオススメになっていたお任せ10貫セットを頼む。
サッカーだってアディショナルタイム5分で点を入れれるのだから、海鮮ボーイの胃袋に寿司を
10貫入れるのに30分かかるかって?いやいや簡単な仕事だよ。
ただ現実は甘くなかった。
お店は激烈混んでいて、オレのお寿司は10分経ち15分経っても来ることはなかった。
そして店を出るまでに残り15分のところでサービスの熱々のあら汁が届く。
急いでる時の熱々のあら汁はもうマグマだ。
骨に付いた身を食べることを諦めマグマを口に流し込んでいると、寿司が届く。
一貫ずつに貫禄があって艶と鮮度が桁違い。
めちゃくちゃ美味そう。
ただ店を出るまでに残り10分。
楽しむ間もなく美味そうな寿司を喉に流し込む。食事というよりほぼ捕食。
蛇のように寿司を丸呑みして急いで店を出た。
悔しい。
あんなにも美味そうな寿司を巨大アナコンダが森に迷い込んだ人間達を丸呑みするように食べてしまった。
1ミリも味を覚えてない。
こんな寿司に失礼なことがあるかよ。
ただこれはオレが悪い。
時間の計算が全く出来ていなかった。
そんな悔いが残るアナコンダ寿司をしてしまった1年後。
富山でリベンジの機会が訪れた。
イベントを終えて17時に富山駅に到着した。
乗る予定の新幹線の時間は18時17分。
これはやるっきゃない。
オレはまだ富山の海鮮を堪能できてない。
リベンジするんだ。あの時の寿司を丸呑みした悔しさは1日たりとも忘れたことはない。
忘れ寿司を取り行くんだという強い覚悟で、前回行ったお寿司屋さんに行くと店の前に5人ほど並んでいた。
5人くらいなら大丈夫だろう。
まだ時間に余裕がある。
10分ほど待って列の先頭になり店員さんが案内される。
「整理券はお持ちでしょうか?」
整理券?店前には発券機が置いてある。
まさかのこの1年で発券機が導入されていたのだ。
せっかく並んだ10分が、ただ寿司の近くで立っていた男になってしまった。






