「ついてこい」と言わないモナキ――初Zeppツアーで見えた、4人が愛される理由【ライブレポート】

オーディション後、約2年の下積みを経てお披露目され、2026年3月、TikTokをきっかけに突如ブレイクした4人組男性歌謡グループ・モナキ。
4月のメジャーデビュー後はテレビやメディアに引く手あまた。そんな彼らにとって初となるZeppツアー『MONAKI 1st Tour 2026「モナキやで☆しらんけど」』が、大阪、愛知、東京の3都市で開催された。
そのツアーファイナルとなる8月24日、Zepp Haneda(TOKYO)公演には約2900人の“モナカマ”(モナキのファンネーム)が集結した。

わずか数カ月でスター街道を駆け上がっている――。そう書けば、モナキの現在地は説明できるのかもしれない。けれど、この日のステージを見て感じたのは、その真逆だった。
彼らがこんなにも愛されている理由は、きっと「順風満帆ではなかったこと」にある。
憧れのZeppでさえ、どこか低姿勢
暗転した会場にユーロビートが鳴り響き、カウントダウンとともに4人が登場。
オープニングを飾ったのは、TikTokで大きな話題となった『ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど』。続いて純烈の『キミとボク』、ムード歌謡の名曲『星降る街角』と、モナキらしい新旧入り交じった選曲で会場を一気に温めていく。

最初のMCでは、リーダー・じんが10代の頃からミュージシャンとして憧れてきたZeppのステージに立てた喜びを爆発させ、「Zepp、来たぞ~!」。
すると、おヨネも「僕もこのステージでやってみたかったことがある」と前へ。
何を言うのかと思えば、こちらも「Zepp、来たぞ~!」。
まさかの同じセリフにメンバーは爆笑。さらには「あおり慣れてないね」とツッコまれ、客席からも笑いが起きた。
この一幕が、なんともモナキらしい。
いわゆるライブで耳にする「ついてこい!」のような強気なあおりが、彼らからはほとんど聞こえてこない。
代わりにあるのは、「一緒に楽しもう」「一緒に行こう」という言葉だ。
純烈の弟分として、地道な活動を重ねてきた4人。ブレイクした今も、ステージの上から観客を引っ張っていくというより、同じ目線に立ち、隣を歩こうとする。そんな妙な“低姿勢”こそ、モナキの魅力なのかもしれない。
歌えるか、踊れるか。それだけがアイドルの道じゃない
ライブ中盤では、オーディションのレッスン課題曲だった楽曲をそれぞれがソロで披露した。
サカイJr.は福山雅治『桜坂』、じんは松山千春『大空と大地の中で』、ケンケンは郷ひろみ『2億4千万の瞳-エキゾチック・ジャパン-』、おヨネは黒沢明とロス・プリモス『ラブユー東京』。

さらに、ユニットで歌い上げる、ケンケン&おヨネによる『YAH YAH YAH』、サカイJr.&じんによる『想い出がいっぱい』、東京公演限定でおヨネ&サカイJr.が『渋谷で5時』を披露するなど、昭和・平成の名曲をこれでもかと詰め込んでいく。
本人たちは、自分たちのことを「若くない。歌えない。踊れない」と自虐的に語る。
確かに、10代から歌とダンスだけに人生を懸けてきた“王道アイドル”とは違う。
オーディション前まで社会人だったメンバーもいる。一度は芸能界から身を引いた者もいる。夢に一直線でたどり着いた4人ではない。
だからこそ、彼らが必死に歌い、踊る姿には、技術とは別の説得力が宿る。
「できる人が、できることを見せる」のではない。
できなかった人たちが、今日まで必死にやってきたものを見せている。
完璧ではないから、応援したくなる。泥臭いから、自分を重ねたくなる。
モナカマが熱狂しているのは、完成されたスターを見上げているからではなく、彼らの“途中”を一緒に走っているからなのだろう。






