「ついてこい」と言わないモナキ――初Zeppツアーで見えた、4人が愛される理由【ライブレポート】

「ファーストツアーで浮かれるな!」
もっとも、そんなエモーショナルな空気だけで終わらせないのが、モナキである。
突如、巨大スクリーンに現れたのは、プロデューサーである純烈・酒井一圭からの指令。
「ファーストツアーで浮かれるな!」
始まったのは、まさかの「たらい落とし対決」だった。
頭上に吊るされたたらいを、ギリギリのところで止める――という、バラエティ番組の王道中の王道。
失敗すれば、痛がる姿が『マンボNo.5』に合わせてバックスクリーンで何度もリプレイされる。令和のZeppで繰り広げられる、昭和のドッキリ番組。
しかも4人は、それを照れることなく全力でやる。
歌謡曲を歌い、アイドルとして踊り、体も張る。
この「なんでもやる」の精神もまた、スーパー銭湯や健康センターから地道に活動の場を広げてきた兄貴分・純烈から受け継いだものなのだろう。

さらに酒井から届いた次なる指令は、「リズム感を養え!」。
ステージ上に運び込まれたのは、なんとモナキがコラボレーションしている「太鼓の達人」のアーケード筐体。
課題曲はもちろん、『ほんまやで☆なんでやねん☆しらんけど』。
ここで圧倒的な実力を見せたのがおヨネだった。
「太鼓の達人 段位道場九段」の腕前を持つおヨネは、ハンデとして愛用のマイバチを封印。
ゲームセンター備え付けのバチを、本人いわく「ハウスバチ」と呼ぶと、すかさずメンバーから「ハウスワインみたいに言わないで!」とツッコミが飛ぶ。
最高難易度の「おに」に挑戦し、ほかのメンバーから容赦ない邪魔が入るなか、それでも見事フルコンボを達成。
本気で歌って、本気でふざける。その振り幅もまた、モナキというグループの強さだ。
回り道をした人間だから、言える言葉がある
ライブ終盤。新衣装で登場した4人は、「すみなすものは心なりけり」「ねがい」を歌唱。

ここから、それまでの賑やかなムードが少しずつ変わっていった。
サカイJr.は、モナキになってから「夢の見方を思い出してきたような気がする」と語った。
10代で芸能界に入り、一度はその世界を離れたケンケンは、「死ぬまでモナキ4人で頑張っていきたい」と宣言。
2年前まで大阪で会社員だったおヨネは、自分ひとりでは何もできなかったと振り返り、スタッフや仲間に囲まれた現在を「奇跡的なこと」と表現した。
そして、リーダーのじんは言う。
長い間、回り道や遠回りをしてきた。だからこそ――。
「かっこ悪くてもいいし、はみ出したっていい」
自分らしく生きることを諦めないでほしい。マイノリティにいつまでも寄り添い、その人のために歌を作っていきたい、と。
この言葉こそ、この日のライブを象徴していたように思う。

モナキは、成功者の側から「頑張れば夢は叶う」と叫ぶグループではない。
夢を諦めかけたことがある。自分は選ばれない側なのではないか、と思ったことがある。人生には、努力だけではどうにもならないことがあると知っている。
そんな4人だから、客席に向かって「俺たちについてこい」とは言わないのだろう。
うまくできなくてもいい。はみ出してもいい。それでも、よかったら一緒に行こう。
そんなメッセージが、歌にも、MCにも、4人の立ち姿にも流れていた。







