反省第21回「前歯4本失ったら、歯医者まで夜逃げした話」
お布団で反省文
ぱーてぃーちゃん・すがちゃん最高No.1、はじめてのエッセイ連載。日常の小さなクヨクヨを綴った、布団の中で書いた反省文。

たまにゾッとする夢を見ませんか?
お化けが出たり、高い所から落ちたり、大事なプレゼンの当日に資料が全く出来てないとか。
ハッと目覚めて「良かった、、夢かぁ」みたいな。
これはストレスや生活習慣の乱れで起こる事らしく、自分が恐怖に感じてる事が頭の中で再現されるらしい。
オレも怖い夢をたまに見る事があるのだけど、その内容が、前歯がポロポロと抜け落ちる夢。
なんだその夢は。
それの何が怖いんだよと思うかもしれませんが、オレからしたら、恐怖で飛び上がるように目覚めて自分の前歯がある事を確認して、
「うわぁ良かった!前歯あるわ!最高!」
と安心してまた眠ります。
なぜそんなに前歯を失うことに恐怖心があるかと言うと、20代のほとんどを前歯がまともに無い状態で過ごしていたからなのだ。
知られざるすがちゃんと前歯の苦悩のヒストリーを語らせてもらいたい。
まず最初に前歯を失ったのは、小学校6年生の時。
体育の授業でドッチボールをしてる時に、たまたま上手いこと逃げ切れて、最後の1人までコートに残っていた。
小学校のドッチボールで最後の1人に残る状態はまさに英雄。
しかも相手のコートには3人。
ここから逆転などしようものなら、その瞬間から生きる伝説となって最低3日間は揺るがない地位と名誉を手にできる。
高鳴る鼓動を抑えて、とにかく冷静にチャンスが来るまで粘った。
敵のボールを回しながらの連携攻撃に防戦一方だったが相手の投げ損じが発生した。
ついに自分が攻撃に移れる。
ここで一気に仕留めたい。
逆転をした後の女子達の歓声、男達の羨望の眼差し。
全てを手にしてやるぜ。
ボールを投げようとした瞬間、あるインスピレーションが閃く。
それはジャンピング投法だ。
ジャンプをしながらボールを投げる。
そうする事によって何が起きるか?
そう。カッコいい。
カッコいいということは、モテる。
モテると言ったらカッコいい。
完璧なマジカルバナナが脳内を駆け巡る。
「やるしかねぇ。」
今まで1度もやった事などない。
しかし、ここでこの発想が出るのはまさに天啓。
覚悟を決めて、地上から足を離し、天高く飛ぶ。
ここでオレは、全てを手にするんだ!!
相手コートに向かってボールを投げる。
意気込みとは真逆にボールは明後日の方に飛んで行き、受け身が取れず顔面から着地。
結果は大失敗。
そのままボールを取られてあっさりと敗北した。
情けのない。
あと少しで全てを手にできたのに。
しかも顔面から着地したせいで、前歯が一本抜け落ちて、全てを手にするどころか永久歯を一本持っていかれてしまった。
人生ってのは甘くない。
そこから最初の差し歯人生が始まる。
その時入れてもらった差し歯は割としっかりした物で、そのまま10代は特に気にすることなく過ごしていた。
少し時が経ち21歳の夏頃の出来事だ。
社会人1年目でまだまだ仕事にも慣れず、休みの日に会社の同期と日頃のストレスを吹き飛ばすように、朝までカラオケを歌い弾けていた。
朝5時の退店時間になり、受付にお会計に行くと、ヤンチャな多分大学生くらいの年齢の大柄の男と目が合った。
「てめぇ、何見てんだよ」
何やら大男がブチギレている。
自分に言われてるとは気付かずに、なんか酔っ払いの大学生が誰かに怒ってるなくらいで、同期と談笑しながら店を出ると、
「お前だよ!!!」
突然後ろから怒鳴り声が聞こえる。
パッと振り返ると、身長2メートル前後はあるんじゃないかくらいのグリズリー大男が、すでに顔の目の前にいてそのまま頭突きをされた。
一瞬何が起きたか分からず、唖然とする。
頭の中の
徐々に口周りに激痛が走り、頭突きされた事に気付く。
しかし気付いた時には、そのグリズリー頭突き大男は走っていなくなってしまったのだ。
怒りの矛先がいなくなってどうしたら良いかと佇んでいると、ある事に気付く。
前歯がない。
しかも、ドッジボールで失った差し歯とは違うお隣の歯も無くなっていたのだ。
急いで地面に転がっている前歯を探す。
ものすごい衝撃だったのか根本から綺麗抜け落ちていた。
驚きと怒りで、とりあえず近くにあった交番に歯を握りしめてことの経緯を説明すると、
「いやぁ喧嘩両成敗ですね」
と訳わからない事を言われ泣き寝入りになってしまった。
これが2本目に失った前歯だ。
後日歯医者さんに行き、新たな差し歯を入れて前歯2本差し歯男の人生が始まる。
ただ悲劇はまだ続く。





