コンビが長続きしないのは自分のせい? 次々とNSCを辞めていく相方たち

卒業決定! いよいよ始まる濃密なお笑い漬けの日々
「僕はサイドビジネスをいろいろやってるんで、金はたくさんあります。なので、ネタ合わせに使うお金は僕が払えます」
ふざけたアピールをするやつだと思ったが、彼とは共通点が多かった。名前は小山。同い年で地元も近く、ヤンチャだった過去を持つ。学校での生活は、残り3ヶ月。300人いた同期も半分くらいに減っていた。ということは、辞めずに続いているだけでも、小山には根性があるとわかる。僕たちはコンビを組んだ。ここからは、最後の卒業ライブに向けて走り切る。
「ネタ合わせに使うお金は、僕が払えます」
小山はそう言っていたが、コンビ間で貸し借りを作るのは嫌だった。上下関係や優劣ができると、面白くなくなると思っていたからだ。お互いが住んでいる場所の中間にあるカラオケで、ネタ合わせをすることにした。
「もう1回やろう」
「また? もう休もうぜ」
「いや卒業ライブまで時間ないから」
「ちょっとトイレ行ってくるわ」
変わったやつだ。悪いやつではなさそうだが、今後の関係性がどうなるか見えない。今までの失敗を活かして、付き合っていこう。とりあえず今は、卒業ライブのために練習をしなければならない。まだか。トイレに行ったはずの小山は、戻ってくる気配がない。
『隣の部屋に来いよ』
小山からラインが送られてきた。まさか。隣の部屋を外から覗いたら、中で見ず知らずの2人と一緒に歌っていた。なぜか相手も嫌がっていない。気づいたら最後は、僕も含めて4人で、肩を組んで合唱していた。こういうことをしても許されるタイプは、確かに存在している。貴重と言えば、貴重だ。
この先も何度かネタ合わせをして、卒業ライブの日を迎えた。なんだかんだ言って、手応えのある漫才ができた。野々村さんにも良かったと褒めてもらえた。晴れて卒業。
これからは週4でバイトをしながら、1ヶ月に6回のペースで事務所ライブに出演。チケット代は1万9千円。毎回ライブには新ネタを持っていく。ネタ合わせは月に4回。とてつもなく濃密で慌ただしい1年間が終わって、夢に向かって猪突猛進をする、ハードな日々が始まることになる。
「45」は、次回5/27(金)に更新予定です。お楽しみに!!
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お笑い芸人・福田健悟が綴る、自伝的ファンタジー小説。晴れてNSCに合格し、芸人の世界に気分が高揚する福田。しかし、学校生活は想像していたものより遥かに厳しかった。...








