ジョージ・ハリスンにスポットを当てた作品

『ジョージ・ハリスン / リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』

マーティン・スコセッシ監督の手腕が際立つジョージ・ハリスンのドキュメンタリー。

▲マーティン・スコセッシ監督 ©Brigitte Lacombe

上述のような生い立ちで、最期は銃弾に倒れたジョン・レノンは、どこを切り取っても物語になるドラマチックな人生だ。そして、ビートルズでは、ポール・マッカートニーがレノンの曲作りにおけるパートナーの位置を占め、リンゴ・スターは次にあげる映画でもそうだが、ツッコまれがちなボケ的位置、目立たないのがハリスンだ。

そのハリスンを主人公に、ここまで興味深いドキュメンタリーを作れるとは、さすがスコセッシ監督。

例えば、『タクシードライバー』はベトナム帰りのタクシー運転手、『レイジング・ブル』は墜ちていくボクサーと、スコセッシ監督には鬱屈を抱えた男を主人公にした名作が多い。

本作はそういったドラマ映画ではなく、ドキュメンタリーであるが、レノン&マッカートニーの影で、自身の音楽性を十分発揮できずにいたハリスンも、スコセッシ好みの主人公と言えるのかもしれない。

ビートルズを離れても活躍したハリスンは、音楽家としてはもちろん、映画プロデューサーとしても秀作を世に送り出している。『ライフ・オブ・ブライアン』をはじめとしたモンティ・パイソン映画から、『ウィズネイルと僕』のようなカルト人気を誇る映画まで、センスの良いラインアップだ。

おとなしそうに見えて、ユーモア好きでもあった。仲の良かったリンゴ・スターに、死の床で言ったジョークが泣かせる。

〇ジョージ・ハリスン/リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド

『ハード・デイズ・ナイト』

アイドル映画とあなどるなかれ。もしビートルズを知らない方がいたとしたら、まず本作をご覧あれ。

若き日のビートルズが、自分たちを演じたドキュメンタリー風コメディ。

黄色い声をあげて追いかけてくるファンから走り逃げながら、仕事場に向かう4人がコミカルに描かれる。演技が下手なのもご愛敬、ゴキゲンなヒット曲の数々とともに、とぼけた味のコメディを楽しむうちに、当時の熱狂と、熱狂を生んだ理由もわかるはず。

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