2020年12月にドコモが発表した20GBの新料金プランは、その後、ほかの大手2社や楽天に影響を与え、値下げ合戦が始まりました。しかし、契約者全体の3分の2のユーザー、特に中高年層は値下げ合戦の蚊帳の外にいることも事実。自分が使用している携帯電話の料金を値下げにつなげるには、どうしたらいいのでしょうか。経営評論家の山田明氏が、自らの経験を話してくれました。

本記事は、山田明:著『スマホ乗り換えで毎年5万円貯金できる』より一部抜粋編集したものです。

▲5年前にテレビのCMで格安携帯の存在を知りました イメージ:8x10 / PIXTA

5年前に格安携帯で毎月4000円になった

私は何年もの間、毎月7,000円を超える携帯料金を大手携帯会社に払い続けていましたが、5年前にテレビのCMで格安携帯の存在を知り、テレビで案内された番号に電話して格安携帯を申し込んでみました。

すると、手続きのために格安携帯会社から委託された説明員が自宅に来てくれて、携帯の使用方法などを説明してくれました。そして実際に使ってみると、通信品質はそれまで使っていた大手携帯会社の携帯と遜色がなく、申し込んだ6GBのプランで、毎月の携帯料金は4,000円ほどに下がりました。

はずかしい話ですが格安携帯に替える際に、それまで使っていた大手携帯会社の料金プランで、どれだけのデータ容量を使えたのか、まったく理解していませんでした。ですから格安携帯に移行するときに、それまでのプランとの比較もしていませんでした。

ただ、格安携帯に移行しても、それまで同様に携帯がなんの支障もなく使え、それにもかかわらず、料金だけ毎月3,000円も下がってよかったと感じたことだけ、今も鮮明に覚えています。

そして21年2月に、同じくテレビのCMで楽天の携帯を知り、5年前に格安携帯を知ったときと同様の衝撃を受けました。今回の衝撃が、より大きかったのは、楽天の携帯は使ったデータ量の分だけ料金がかかり、しかも、毎月の携帯料金の上限(天井)が決まっていることでした。

毎月、動画の視聴などで、どれだけデータを使っても、2,980円(税別)以上支払う必要がないことに驚きました。携帯大手3社も21年1月、20GBまで定額2,980円のサービスを発表しましたが、楽天のサービスには20GBという上限がないのです。

また、携帯大手3社の20GB定額サービスは若者を意識しているようで、私たちのような老夫婦が申し込むことは実際には困難でした。インターネットによる申し込みしか受け付けてもらえなかったのです。

楽天のCMを見て、携帯を申し込んでから1年近く経ちましたが、振り返ってみると楽天のショップで申し込むことも簡単ではありませんでした。

家の近くに楽天の店舗がなく、インターネットで探してみると、車で1時間かかるショッピングモールの中に最寄りの店舗があることがわかりました。

また、ネットで検索した際、店舗を訪問する前に申し込みに必要な個人情報などを入力すると、手続きがスムーズに進むことが説明されていました。そこで事前にネットで情報を入力してから訪問すると、店舗での手続きは約1時間で済みました。

そして、店舗での担当者とのやり取りを振り返ってみると、この手続きをネットだけで行うことは、私のようなITに弱い老人には、とても無理であることを改めて認識させられました。

手続きのなかで、音声通話を無料で行うアプリをインストールしたり、グーグルのアカウントのメールアドレスやパスワードの設定を行う必要があり、担当の方に説明された言葉が外国語に聞こえてしまいました。

でも、私が対応できない様子を見ていた担当者が代わって作業をしてくれましたので、私は質問に答えるだけで複雑な作業を終えることができました。

そして、もう一つ印象に残ったことがあります。店頭でスマホを受け取って帰る際に「私の自宅は楽天の電波でカバーされているのですか」と質問したのですが、「自宅に帰ってスマホの電源を入れてみないとわからない」と言われたことでした。

当時、楽天が携帯市場に参入してサービスを開始してから1年も経っていないのですから、無理もないかと思い不安を抱えて自宅に戻りました。そして、自宅でスマホの電源を入れると、「パートナー回線エリア接続中」と表示され、ネットも電話も普通にできました。

このパートナーというのはKDDIのことで、楽天の基地局設置が間に合っていないエリアは、KDDIの通信設備を楽天が借用し、楽天のサービスとして提供しているのです。

その後、数週間してチェックしてみると、今度は「楽天回線エリア接続中」と表示されています。21年末には、人口カバー率で96%になるとのことでしたが(22年3月にずれ込む見込み)、楽天が無線基地局(アンテナ)の設置工事を短期間で急拡大していることが実感できました。

楽天の携帯料金は毎月0円を継続

次に、楽天に替えてからの携帯料金についてお話しします。楽天で購入したスマホには、それまで使用していた格安携帯会社のスマホと異なり、データ利用状況が表示されており、利用済みデータ○○GBと表示されています。

このデータの利用状況は、週とか月の単位を自分で選択すれば、該当の期間の日々のデータ使用量がグラフで表示され、とてもわかりやすいです。また画面には「1GBまで無料、3GBまで980円、20GBまで1,980円、無制限2,980円」と表示されています。

楽天に乗り替えて1年近く経ちましたが、まったく通信に支障は出ていません。電話は通話時間の制限なしでかけ放題、無料で普通に使えます。

この1年間の楽天の携帯料金をスマホで確認してみると、毎月0円が継続しています。毎月使用したデータとして表示されるのは、大体0.5GB前後ですので、当然0円になるわけです。

私が申し込んだときは、1年間無料のキャンペーンを実施していましたが、キャンペーン期間でなくても、私のように小容量しか使わないユーザーであれば0円が継続します。

▲楽天の携帯料金は毎月0円を継続 イメージ:IYO / PIXTA

5年前の私のように、今も毎月7,000円とか8,000円の携帯通信料金を支払っておられるユーザーには、間違いなく大幅値下げが実現します。データをいくら使っても毎月最大で2,980円で済むのですから。

ただし大手携帯会社と長く契約していた私のようなユーザーが、2年間の契約の更新月として指定された一か月間に解約手続きを行わないと、解約に伴うペナルティとして大手携帯会社から1万円ほどの解約金を請求されます。

これは現在では法律で禁止されていますが、19年の法律改正以前に契約しているユーザーからは、依然としてペナルティ徴収が認められている腹立たしい制度で、総務省と大手携帯会社が癒着していた時代の名残りとも言えるものです(ドコモは21年10月から解約金を撤廃すると発表しました。ほかの2社も年度内に撤廃する模様です)。

ところで私の仕事は自宅でPCやスマホを使用する著述業ですが、スマホは自宅でPCに向き合いながら調べ物をしたり、たまに外出する際に電話したり、電車の中などでネットサーフィンを行ったりしています。

また自宅でくつろいでいるときには、娘が送信してくる孫の動画を頻繁に見ていますが、それにも関わらず、毎月の携帯通信料金は0円です。5年前に7,000円から4,000円に下がった携帯通信料金が、楽天に替えて0円になったのには、楽天の格安な携帯料金以外にも理由があります。

それは急激に進化しつつある無線通信技術の産物ともいえるもので、固定通信を無線で利用できる技術WiFi(ワイファイ)です。これを知っているのと知らないのでは、携帯料金は腰を抜かすほど違ってきます。皆さまの値下げプランを実現するうえでも欠かせない技術です。