アーティストでもあり俳優でもある高野洸が、対談を通してアートの世界に触れ、表現を学ぶ「お訪ねアトリエ」。今回のゲストは、落合翔平さんです。

日常目にする商品やキャラクター、車など、あらゆる無機物を自らの視点で捉えて力強く描く落合翔平さん。彼の作品からは、細かい部分も妥協せずに書き込む、熱量の高さが伝わってくる。

2022年、ファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)が主催するデジタルオークションハウス「JOOPITER」に作品を提供し、国内外で活動の幅を広げ、最近では、読売ジャイアンツとNEW ERAとのコラボキャップが販売されたことでも話題を集めた。2025年8月にはコラボレーションたまごっちの発売が開始される。

また、美大卒業後、芸人を経て美術作家になったという面白い経歴の持ち主でもある。そんな落合さんの作品に高野は、いかにして出会ったのか。共感ポイントも多いことがわかったふたりの対談をお届けします。

▲和やかな雰囲気で対談がスタート

好きなものは描きたくなっちゃう

高野:最初に、落合さんが描かれたポケカ(ポケモンカードゲーム)と遊戯王(カード)を見たんです。

落合:リザードンとブルーアイズですね。

高野:そうです! あれが本当に衝撃で落合さんのサイトに飛んで、めちゃくちゃ漁って見ました。

落合:うわー、嬉しいです! 高野くんも、ポケカとかやってた世代ですか?

高野:やってました!

落合:そうなんですね、僕も遊戯王とポケカ両方ともやってて、あのカードのデザインとかいいですよね。

高野:ポケカや遊戯王を描かれたきっかけは何だったんですか?

落合:子供の頃からすごく好きで、やっぱり好きなものを描きたくなっちゃうんですよ。今描いているものも、自分が好きなものを描いていて、本当に子供みたいなことをずっとやっています。その中で、カードも好きなものの中から1つ描こうと思って、遊戯王だったらブルーアイズ、ポケカだったらリザードンだなと思って描きました。

高野:かっこいいキャラクター多いですよね。他のキャラクターのも見てみたいです!

落合:ぜひ、あとで高野くんの好きなキャラクターを教えて下さい!

高野:本当ですか! おすすめのキャラクターたくさんいますので! では、他にも色々お伺いしたいのですが、落合さんはいつから絵を描いていましたか?

落合:18歳くらいからですかね。まぁ、小さい頃もたまに描いていたんですけど、小学校の5、6年生の時に担任の先生が「毎日日記を出さないとダメだぞ」って、日記の宿題があったんです。めちゃめちゃめんどくさいじゃないですか毎日日記書くって。

でも、その先生が絵がめちゃ上手だったんです。ドラゴンボールの絵とかうまくて。絵を描いたら、先生がお返しに絵を描いてくれるのでそれが欲しくて絵を描くようになりましたね。当時はサッカー選手になりたいっていう夢があったので、ずっとサッカーをやっていたんですけど、高3の時は美大に行きたいって思ったんです。

美大ってどうすれば行けるかわからないじゃないですか。それで調べたら、やっぱり絵が描けないとヤバいらしいって言うことで、美大専門の予備校に通いました。塾みたいな。みんな朝から晩までデッサンしてて、すごい光景でした。そこで初めてデッサンをやりましたね。

高野:そうだったんですね。

▲落合さんの意外なお話に引き込まれる

落合:大学の時はプロダクトデザインを学んでました。テレビとか時計とか、色んな立体物のデザインです。当時、僕無印(良品)に憧れてたんで。

高野:えー! 今描いている絵画風と全然違いますね。

落合:無印に憧れて、もともと無印に入りたいと思ってたんですけど、そしたらこうなっちゃってて。大学の時は立体の学科だったのであんまり絵を描く学科じゃなかったんですけど、授業よりも絵を描いてるほうが面白いなって思うようになって、そこからずっと描いている感じですね。

高野:そうなんですね。今の画風とか、今の描き方にはどうやってたどり着いたんですか?

落合:小学校5、6年生の時の絵日記見ても、あんまり変わってない感じなんですけど、でも、大学の前半の頃に色んな方向からの視点を入れちゃおうみたいな。

高野:面白いですね。立体も勉強していたからこそ、あの構図になるんですかね。

落合:多分そんな気がする。プロダクトデザイン好きだったからっていうのもあると思います。

高野:画材は何を使ってるんですか?

落合:鉛筆、マーカー、色んなものを使っています。デロリアンの絵は、銀の部分は0.8ミリのボールペンで全部塗っています。きついーって思いながら、一生懸命塗ってます。

高野:絵の具は使わないんですか?

落合:絵の具も使います! 絵の具を使ったら、めっちゃ早いなって(笑)。でも、筆跡が好きなんですよ。

高野:紙に跡が付くくらいがいいですよね。

落合:そうです、そうです。僕、結構筆圧が強いので、鉛筆が毎回折れまくっちゃうんです。“ボキ、ボキ、ボキー!”って。だから、結構紙に穴とか開いています。開いた穴は、紙を貼ってその上から色を塗るので、自分の作品は結構立体的になってるんですよ。

高野:それも味ですね。

落合:そうですね。そこは結構自分のこだわりっていうわけじゃないですけど、強みみたいな感じかなと思ってます。全部アナログでやるっていう。アナログが好きすぎて。なんかこう、汗かきてえなと思ってるんですよ。

高野:今回、お話を聞けるということで、改めて落合さんの作品を拡大したりして見ていたんですけど、鉛筆で描かれている線よりも、黒く塗られているところのほうが濃く出ているなと。それがすごい好きだなって思いました。生でぜひ見たいなって思いました。

落合:嬉しい! 個展を開催した時は、ぜひ来てください!