「定期借地権付き」は注意…タワマン選びのポイント
――先ほど「ネット記事には不安を煽るものが多い」とありました。タワマンについてもネガティブな記事が出ていますが、世良さんは逆に購入をオススメしているのが印象的でした。
世良 タワマンって、じつは明確な定義がなくて線引きが難しいんですが、湾岸地域にあるような大規模タワーマンションということでお話すると、ここ20年で一番値上がりしている商品なんですよ。貸し出す商品としてもいいですし、売ったときの利ザヤも大きい。
現在の「タワマンはやめとけ」っていう風潮は、前例がないものに対する不安からじゃないでしょうか。今から70年前、分譲マンションが出始めた頃も「マンションはやめとけ」という声があったと思います。その頃から、建築技術が上がり、より大規模になったのがタワマンです。資産価値は、これからも上がっていくんじゃないのかな、というのが僕の見立てです。
――タワマンって「キラキラ」「お金持ち」っていうイメージがありますが、実際どうなんでしょう?
世良 そこはイメージとのギャップがあると思います。僕も仕事柄、いろんなタワマンに出入りしていますが、連日パーティーが行われている、なんてことはないです(笑)。タワマンもあくまで住居で、住んでいる大多数はファミリー世帯ですね。世帯年収ですと、僕が担当していた湾岸地域のタワーマンションだと、部屋の広さもよりますが、1000万~1500万円といったところじゃないでしょうか。
――なるほど、タワマンが少し身近に感じられてきました。タワマン選びのポイントを教えてください。
世良 ここは本にも書いたんですが、分譲会社はとにかく大手がいいです。三菱さん、住友さん、東急さん……ブランド名を冠したタワマンはしっかり値上がりしています。もう一つは戸数が多いタワマンを選ぶこと。これは、タワマン内の住替えが多いからですね。タワマンは環境もいいし、コミュニティもできている。例えば、2LDKの部屋を売りに出すときに、同じタワマン内で1LDKに住んでいた世帯が、子どもが産まれたタイミングで買ってくれたりするわけです。
――注意すべきポイントなどはありますか?
世良 中古で買う場合は、修繕積立金と修繕計画をよく確認するようにしてください。マンション全般に言えますが、新築で買ってもらう人が得をする形で分譲するので、最初は修繕積立金が安く抑えられています。そこから、築年数を経るにつれて上がっていくんですが、分譲会社によっては5年か10年でガンと上がったりする場合もあります。
――中古のタワマンはあまりオススメしない?
世良 いえ、そういうわけではないです。たとえ修繕積立金が上がっていても、それより資産価値が上がれば問題ありません。修繕積立金が上がるのは、別にタワマンだけでなく、小規模中規模マンションも一緒ですね。僕がオススメしないのは「定期借地権付き」のタワマンですね。
――初耳です。どういったものですか?
世良 「借地」というのは、別の人の土地を借りて建物を建てるということです。日本の法律って、借地人とか借家人とか「借りて住んでいる人」に手厚かったんです。地主さんが可哀想になるくらい。それをもっと柔軟に対応できる形にしましょうと、借地借家法が改正されました。
それによって、借地権を50年とかに設定したら、50年後に建物を更地にして必ず返さなければいけなくなったんです。定期の期間が満了になると、資産価値がゼロになるということです。なので、賃貸に住むのとあまり変わらないですね。定期借地権付きは購入価格が安い、というメリットもあるんですが、一般の人にはあまりオススメはしませんね。
これから値上がりが見込めるエリアは?
――住宅購入で失敗しないために「重要事項説明書」の確認が重要だとありました。ポイントをあらためて教えてください。
世良 「これだけは絶対に譲れない!」という希望を明確にして、書面の該当箇所を見落とさないというのがすごく大事です。マンションの場合だと「好きなようにリフォームしたい!」という方は“フローリングの制限”について、「家族でペットを飼いたい!」という方は、“ペット飼育”といった項目を確認しないといけない、という感じですね。その際も「これについてはどこに書いてありますか?」と営業パーソンに聞ける関係になっていることが理想ですね。
――これから値上がりが見込める、とっておきのエリアがあれば教えてください。
世良 長い目で見て……ということであれば、京急蒲田エリアですね。京急蒲田駅とJR蒲田駅とを地下でつなぐ“蒲蒲線”が2030年代にできると言われています。2つの駅は歩いて10分ぐらいの距離で、縦には路線がそれぞれ走っているものの、横はつながってなかったんです。“蒲蒲線”ができると、羽田空港から京急線で蒲田、そこから東急線で渋谷方面に出ることができます。羽田と副都心方面をつなぐハブとして、京急蒲田はこれからどんどん上がっていくと思いますよ!
――耳寄り情報をありがとうございます。最後に、世良さん自身の今後の抱負をお聞かせください!
世良 お笑い芸人として、もっと上を目指していきたいです! おかげさまで“不動産芸人”として呼ばれることも増えてうれしいのですが、やっぱり格式ある漫才大賞だったり、M-1も去年の3回戦以上を狙っていきたいです。……って、ちょっと真面目すぎますかね(笑)。