吉本興業所属の“不動産芸人”とフリーランスの不動産営業パーソンという二刀流の経歴を持つのが、お笑いコンビ・ぺんとはうすの世良光治。6月1日に『住宅購入で成功する人、大失敗する人』(Gakken)を上梓した。その内容も踏まえて、悩めるニュースクランチ読者に向けて、住宅購入で失敗しないポイントをインタビューで聞いた。

▲世良光治【Crunch-book-intervieW】

「10年に一人の逸材」と言われた新入社員だった

――まずは、この本を出されたキッカケを教えてください。

世良光治(以下、世良​)​ 2021年に実施された、吉本興業の「作家育成プロジェクト」で企画が通りまして、おかげさまで本を出させてもらうことができました。その企画のなかで、僕の本が最後に発売となったみたいで、だいぶ締め切りを伸ばしてもらいました(笑)。

――世良さんは、吉本興業に入るまではバリバリの不動産営業パーソンだったそうですね。

世良 はい。小さい頃からダウンタウンさんに憧れ、小学校でも漫才のマネみたいなことをしてクラスの子を笑わせてました。それからずっと「お笑い芸人になりたい」という夢は持っていたものの、踏ん切りがつかず、大学卒業後は住友不動産販売に就職しました。

――踏ん切りがつかなかったというのは?

世良 相方がいなかったというのもありましたし、大学までいかせてもらった親に対しても就職しないと申し訳ないという気持ちもあったので。でも、卒業する前くらいに冗談ぽく「一緒に芸人にならへん?」みたいなことは言ってました。

――就職してすぐに「10年に一人の逸材」と言われ、新人時代から活躍されたそうですね。

世良 新人の頃からこの毛量でして(笑)、“22歳には見えない”という安心感をお客さんに持ってもらえたんじゃないでしょうか。あとは、一極集中で自分の担当エリアの知識は誰にも負けないよう、常に情報を入れていました。

当時は田町のセンターにいたんですが、周辺の三田・芝・芝浦・港南・麻布十番・東麻布といった狭いエリアにしぼりました。もう六本木とかも捨てて、そこだけに。そのために日経新聞を端から端まで毎日チェックして、「品川駅の港南口が……」みたいな見出しを見つけたら、すぐに調べるようにしていました。

知識豊富な営業パーソンに頼りまくろう

――現在も芸人と平行して、不動産営業の仕事は続けているとか。

世良 フリーという形でやっています。保険の営業でフリーはいますけど、不動産の営業でフリーは珍しいかもしれないですね。働いている日数で言うと、8:2で芸人の仕事のほうが多いんですが、収入に関しては9.5:0.5ぐらいの割合で不動産の仕事ですね。

――それでは、住宅購入で失敗しないためにどうすればいいのか、を教えてください。まず、これまでの経験から「こんな人は失敗する」というタイプは?

世良 「失敗したくない!」という気持ちが強いあまり、ネットの情報に頼りすぎる人ですね。セカンドオピニオンとして参考にすることはいいんですが……ネット記事には不安を煽ったり、実務経験のない人が書いたものが多いです。やっぱり、プロの営業パーソンの意見を参考にしてほしいですね。営業パーソンは“本当にお客さんが損をしないように”と考えています。お客さんが損をしたらクレームにつながって、結局は自分に返ってきますからね。

――営業パーソンと付き合う際のポイントってありますか?

世良 相性が大きいと思います。ある人にとってはメチャクチャ良い営業パーソンでも、他の9割の人にとってはそうじゃなかったりするんですよ。ですので、“この人いいな”と思える人がいたら長く付き合ってみるのがいいです。営業パーソンとしても、関係を重ねれば、お客さんの性格や好みがわかってきて、良い提案ができるようになります。

――なるほど。

世良 どの業界でもそうだと思うんですけど、営業パーソンが“このお客さんのために頑張りたい”と思ってもらえたほうがいいですよね。不動産の場合、ネットとかで物件を探して、その物件を仲介する会社に問い合わせをすると思うのですが、そこで自分とマッチする営業パーソンを出会えたら、その人に他の物件も紹介してもらうというのもアリです。

そういう人間関係を考えた場合、よくネット記事に「仲介手数料は値引きできる」みたいなのがありますけど、いきなり値引き交渉をするのはオススメしませんね。もちろん、高い買い物ですから安く抑えたい気持ちはわかりますけど、住宅を購入したら終わりではなく、買い替えや売却など長く付き合える関係を築いたほうがいいのかなと。