シンプルな味、他と似て付かない珍しい見た目と食感で子ども人気が高いイメージのミルクレープ。
この日私が食べたミルクレープは、まるで大人が書くラブレターのようだった。
ミルクレープの新世界
今回私が漂流いたしましたお店は、豪徳寺にある「EQUALLY」というお店です。
天井の高い解放感溢れる店内には大きな窓から自然光がたっぷりと差しており、少し白んで見える。利用客の皆さんの弾んだ話し声と食器の音、食材に火が通っていく音で溢れている。
1人が目立ちにくいお店だ。
気にしいで、どこにいても人からの目が気になってしまう私にはちょうど、同じテーブルを囲う自分以外のことを忘れやすい空気だと感じた。
今、お一人様の感覚で言ったが、複数で行けば非常に話しやすくコミュニケーションが弾みそうな非常に素敵な空間である。
適度に人が満ち、それぞれが自分のテーブルだけで情報を完結させている感じがした。
クレープやガレットがメインのカフェで、そのほかにも食事系のプレートやスープもあるため、スイーツをメインにしても食事をメインにしても満足できる。
非単調な層と口どけ
そこで私が味わったのは「ブラン」という名前のミルクレープ。
目の前にきたミルクレープは想像していた三角形を裏切り、長方形である。
早速いただきます。
ブランに差し込んだナイフの刃が重たい。ここで私のなかの期待値がかなり上がる。
「なるほど、食べなくても分かります、ずっしり濃厚系ですね」
ナイフが止まる。
「え、硬いなにかに当たった、なんだ!板状のホワイトチョコが入っている」
手に力を込めるとポキっとホワイトチョコが割れた。
また切り進めると、最後は土台になっているほろほろの焦がしバターケーキがほどけて私の一口サイズになった。
口に入れると想像よりもずっと爽やかな風味が鼻を抜けた。
食感はしっとりと濃厚なのに味の第一印象は爽やかであり、しかしゆっくりと味わうとどこか複雑ですぐに飲み込むにはもったいないおいしさ。


平岡海月











