ドアの無い大きな入り口をくぐった私は、
どこまでも続く深いパフェの世界に迷い込んでしまった。
今月はバレンタイン月。
毎年バレンタインの時期は部屋がチョコレートの紙袋で埋め尽くされる。
チョコの催事場に行き、食べたいものを好きなだけ買って、それを家で味わう時間は数少ない大人で良かったと思える瞬間だ。
今年は家から出てもう少し贅沢なバレンタインを経験してみよう。
ショコラティエが創るチョコレートパフェ
今回私が漂流したお店は日比谷にある「パティスリー&カフェ デリーモ」。
“ショコラティエの創るパティスリー”がコンセプトであるこのお店ではチョコレートを主役にしたパフェや手土産にも最適なフィナンシェなどのスイーツをはじめとし、パスタやピザなどお食事もいただけるお店。
私がこの日注文したのは“ダムブランシュ”というパフェと“ショコラダージリン”
のセット。
「ダムブランシュ」は誰にでも伝わる言い方を選ぶと、チョコバナナパフェ。
パフェよりも一足先に温かいショコラダージリンがやってきた。
これはお店のオリジナルティーのようで、ダージリンの中にカカオの香りをほのかに感じ、これから味わうチョコレートパフェへの楽しみが加速した。
手元に届いたパフェの第一印象はとても上品だと思った。
下に向かって細くくびれただけのシンプルなグラス。
一番上に添えられている薄いチョコレートは丁寧にテンパリングされたのだろう、下のバニラアイスを映している。
バニラアイスに添えられた控えめなカットバナナ、それらの土台となっているのは平らにならされたチョコクリーム。
その下にはグラス越しに見えるダイスカットされたバナナ、サクサクしていそうな層、そして底には濃厚そうなチョコソース。別添えのチョコソースもある。
上から行こう。
薄いチョコレートは舌の上でハイカカオのチョコ特有の残り方をした。薄く繊細なチョコがほろ苦い味と香ばしい香りを体験させてくれた。
ほろ苦いチョコのおかげで、さっき見た時よりもバニラアイスを強く求めていることが、いかにもパフェを食べている感じがしてうれしい。
甘く冷たいバニラアイスの下はチョコクリームの層。
私はこのチョコクリームに困った。困るくらい美味しくて感動した。
しっとり濃厚な重みのある生チョコの食感に近い甘いチョコクリームの中に細かいチョコチップが入っている。この層が無限に続いてほしいと思った。
切ない。このチョコクリームを食べられるのがこのパフェのたったこの層だけだなんて、そうやっていつもとんでもなく美味しいものは希少だ。
もう少しチョコクリームと一緒に居たいけれど私は次の層に行く。
次はバナナの層。
チョコとバナナはなんでこんなにも合うんだ。
それがどうしても気になり、シェフ・ショコラティエの江口和明さんに聞いてみた。
まとめると奇跡で、強いて言うならバナナの木はカカオの木のシェードツリーになることが多いそうだ。
カカオの木は強い直射日光を嫌うため、より高い木を傍で育てて影を作る。
お互いに木の時からすぐ近くにあるのだから相性などそんな話ではない。もう腐れ縁だろう、一生傍にいてくれたら良い。
次はコーンフレークが一般的な“あの層”にスプーンを押し込む。
想像を裏切るシャクシャクとした感覚。このパフェの“あの層”はパイ生地のようだ。
薄く細かいパリパリとした生地が上下のチョコレートを少し吸い込んでシャクシャクとした食感になっていた。
底のビターなチョコソースには
「よくここまで来たね、甘かっただろ」
と言われたような気がしてほっとした。
パフェは、向き合うもの
パフェを食べている時、他のスイーツを食べている時よりもパフェとコミュニケーションを取っている気分になった。
幾つもの表情を魅せるパフェに向き合いたいと思ったし、向き合えば向き合うほどおいしく食べられた。
私は完全にパフェの虜になった。出会い頭の忘れられないときめき。掘れば掘るほど違う味わいを体験させてくれる奥の深いパフェの世界にあなたも溶け込んでみては。
X:@nc_waniwani
【information】
パティスリー&カフェデリーモ
東京ミッドタウン日比谷店
住所:東京都千代田区有楽町1丁目1-2東京ミッドタウン日比谷 B1F
TEL:03-6206-1196
アクセス:東京メトロ千代田線・日比谷線 ・都営地下鉄三田線「日比谷」駅から直結
東京メトロ有楽町線「有楽町」駅から徒歩4分
東京メトロ丸ノ内線・日比谷線・銀座線「銀座」駅から徒歩5分
JR山手線・京浜東北線「有楽町」駅から徒歩5分
営業時間:11:00-23:00(LO22:00)
定休日:施設に準ずる

Instagram:@mitsuki.hiraoka


平岡海月









