真上からの太陽に煽られながら歩いていると、“台湾”の文字が目に入る。
アジアらしい暑さと日本では珍しい色遣い。記憶の中にあるここ数年一度も思い出さなかった台湾の商店街を思い出した。
読者の皆さんはじめまして。福井県から漂流してきました、福井県産クラゲの平岡海月です。
初期の頃から時々させていただいているキャッチコピーです。連載のタイトルにも要素を入れていただいたので久しぶりに披露してみました。キャッチコピーにしては少し長いです。
改めまして、日向坂46の平岡海月です。
甘いものと読書が大好きです。念願叶いまして、スイーツを食べてエッセイを綴る連載、「平岡海月のあま~い漂流記~お菓子い散文~」をNewsクランチ!さんでスタートさせていただくことになりました。
思い出香る、台湾かき氷
記念すべき初回に漂流いたしましたお店は、下高井戸にある台湾カフェレストラン「美麗 MEILI」というお店です。

お店の前には、「氷」と書かれた青と赤の葛飾北斎を彷彿させる懐かしい旗が僅かな温風を受けてかすかに靡いている。
私の肌は太陽にじりじりと照らされて、僅かな風に気付けないほど暑さだけに気を取られているので、眉間に深い皺が出来る前に氷を求めて店内に入った。
ドアを開けると私はすぐに“八角”の香りを捉え、当たり前のように中学生の時に行った台湾でのホームステイの記憶をよみがえらせた。
唯一行ったことのある海外が台湾という私にとってそこはずっと特別な場所で、台湾と聞くとつい反応してしまう。
台湾の空港に降りてすぐに香った八角は街の至る所で漂っていた。その後日本で八角の香りを感知するといつも当時を思い出す。
そして八角に一瞬遅れて目に入った可愛らしい柴犬。

警戒の色は全くなく、まるで「いらっしゃいませ」と言っているようですぐに看板犬だとわかった。
ホームステイ先の犬は私が戯れた犬の中で一番大きく、筋肉質であった。ほんの少しだけ怖かったのをこの瞬間まで誰にも言わなかった。

予想外の愛しい思い出の想起に早くも心が解れ、早速カウンターでかき氷を注文することに。
かき氷のフレーバーでは考えつかないような味がたくさん。
・もも+ローズマリー
・メロン×メロン
・いちご+ローゼル紅茶
・キウイ+文山包種茶
・パイナップル+ミント
味の想像がなかなかつかないので店員さんに尋ねてみる。全部美味しそうなことが明確になり余計に悩む。
優柔不断な私が悩み抜いた末に選んだのは、
「すももとキンモクセイの台湾かき氷」
理由はアイドルっぽいから。
すももとキンモクセイはどちらも絶妙にアイドルっぽい。
なんでも決定の理由はこれくらい曖昧で良いと思いながら生きている。
看板犬のトウファと店内の装飾を交互に眺めていたら私のアイドルはすぐにやってきた。
一番上にはピンク色のすももパウダーがかかったエスプーマクリーム、氷の部分は削りいちごとキンモクセイが混ざっていて香ばしそうな褐色になっている。
