吉本興業所属の芸人、松浦景子の第2弾となる書籍『松浦景子のバレエあるある キラキラ』(ヨシモトブックス)が5月25日に発売された。3歳から習っていたというバレエを武器に、バレリーナ芸人としても活躍している松浦。2017年には『とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手~細かすぎて伝わらないモノマネ選手権~』(フジテレビ系)でファイナリストに選ばれ、大きな注目を集めた。

前作『松浦景子のバレエあるある』(マキノ出版)から約2年、登録者数20万人超えの「松浦景子のけっけチャンネル」で投稿された最新のあるあるネタや、YouTubeで未発表のあるあるが収録されるなど、よりパワーアップした内容になっている。新刊を発売した松浦に、現在のポジションを確立するまでの苦労、書籍に込めた思いなどをニュースクランチ編集部がインタビューした。

▲松浦景子【Crunch-book-intervieW】

今回はかなり攻めた内容にしました

――約2年ぶりとなりますが、松浦さんにとってどのような本になりましたか?

松浦 前作もすごくありがたいことに好評で、すぐに第2弾を出してほしいという声をいただいていたんです。前回はマキノ出版さんからで、今回はヨシモトブックスからなんですけど、当時の担当者から声をかけていただいて実現することができました。前回は空気を読みつつだったのですが、個人的には前作を超えないといけないという思いがあったので、今回はかなり攻めた内容にしました。

――いずれ第2弾を出したいと思っていたんですね。

松浦 新たにYouTubeから生まれたネタを具現化したいと思っていたので、“いつかは!”と。ただ、こんなに早く出版できるとは思っていなかったので、実現できてうれしいです。

――本作は前作以上に、よりニッチで深いあるあるが収録されている印象でした。バレエ経験者に向けて作られているというか。その辺りは意識されたのでしょうか?

松浦 かなり意識しましたね。前回よりもネタの部分が濃くなったので、ネタじゃない部分で知らない人に向けたというか、そこのバランスはちょっと考えて作りました。

あとは、前作を作り始めたときは文字数の多い本にする予定だったんですけど、私自身が小さい頃に字を読むのがしんどいタイプだったので、途中で方向性を変えて、絵本としても見られるようにしたんです。そしたら、思っていたよりも持ち歩いてくれる子どもさんがすごく多くて。なので、今回はそれを踏まえたうえで、大人の方が見ても面白いと思ってもらえるようにしてます。

――バレエって敷居が高く見られてしまうことも多いですが、松浦さんの本を通して身近に感じられた人が多かったんですね。

松浦 うれしいですよね。私をきっかけにバレエを習い始めました、という方は実際にかなり多いんです。バレエの面白い部分を発信することによって、自分もやっていいんだなっていうふうに捉えていただいているみたいで。昔やってたけど、小さい頃はツラくてやめた方たちが、働いて自分でお金を稼げるようになって趣味で始めたという話もよく聞きますね。

バレエを広めたいって口で言うのは簡単ですけど、簡単に口に出してはいけないものぐらい高貴なものではあるので。私は自分が広めたいではなくて、私がバレエ界の窓口になって、バレエを好きになってもらいたい。それが私の存在意義だと思ってるので、逆にあまり強いこだわりを持ってないというのがよかったのかもしれません。

――なぜ、ここまで多くの方に共感されたと思いますか?

松浦 バレエって芸術の一部と言われているので、存在は知ってるけど、どう見たらいいのかわからないっていう部分があると思うんです。私は、そのモヤモヤを潰しにかかっただけなんですよ。

私もバリバリの現役の頃は、バレエのことがあんまり好きではなくて、嫌々やっていたタイプなんですけど、そういう方って結構いると思うんです。それを芸人になってから世に発信することによって、皆さんの共感につながったんじゃないでしょうか。もちろん、バレエダンサーを否定するつもりもないし、あくまでリスペクトしてるからですけどね。

芸人としてふざけた目線で見てしまう

――今作では「自撮り加工をしすぎてSNSで別人の先生がいる」というのが、今どきだなと思いました。よく周りを観察されている松浦さんらしい視点だなと感じたのですが、実際にこういう先生はいらっしゃるんですか?

松浦 ええ、山ほどいますよ(笑)。ちょうど年齢的にも私の世代がバレエの先生をやっている人が多いので、知ってる人からそういう情報がたくさん回ってくるんです。今はSNSの時代ということもあって、検索するとそういったバレエの先生がたくさん出てくるので、“ありがとうございます”と思いながら楽しんで見ていますね。

――関東と関西のメイクの違いを紹介するコーナーも、なるほどと共感できました。

松浦 私はバレエの大会に幼少期からよく出ていたのですが、全国を回っていると、その地域ごとに踊り方やメイクも違うことに気づいたんです。バレエ界では教室の先生によってメイクが違うということがよくあって。先生がメイクも担当してくれるので、生徒も自然と先生の顔になるんですよ。

――とはいえ、その着眼点がすごいなと感心させられます。これはネタになりそうだな、みたいなことを考えながら生活されているんですね。

松浦 みんなそうだとは思うんですけど、芸人は何かしらアンテナを張り続けて生きてるので、それがたまたまバレエだったというか。ダンサーさんとかを見ていて、めっちゃ綺麗だなというのはもちろんあるんですけど、どこかふざけた目線で見てしまうところがあるんです。

――そのような視点で見るようになったきっかけはあったのでしょうか?

松浦 バレエっ子だったので、お団子の髪型にしたまま学校に行くことも多かったのですが、そのたびに周りからイジられるので、“あれ? 私って違うのかな?”というところから始まりました。そこからバレエ先生が他の子をすごい贔屓するとか、人によって話し方を変えてるとか、客観的に見るようになっていきましたね。私は贔屓されない側だったので(笑)。

――(笑)。現在のスタイルで発信しようと思ったのは、どのタイミングだったのでしょうか?

松浦 大学が全国的にバレエを踊れる子たちが集合していたところだったんです。私は正直、自分のことをすごく上手だと思ってたんですけど、入学したら同期にあまりにもすごい人がいて、もう私にはバレエは無理だと確信してしまったんです。

でも、大学にいる意味を見つけなければいけないと思ったので、先生を笑わせてみようかなと。そこから私はバレエでは生きないと決めて、授業中に先生の真似をしたりして笑わしていたんですけど、それが異常にウケたというのが今につながっていますね。周りに上手な人が大勢いる場所でやっていなければ、今も踊り続けていたかもしれないんですけどね……。