昨年の『M-1グランプリ』で初の決勝進出を果たした注目の漫才師・めぞんが東京吉本の聖地・ルミネ the よしもとで初めて単独ライブを開催する。インタビュー早々、ぶっ飛んだライブ構想が次々と出てくる展開に。リアルと虚構の狭間を楽しみながら読んでいただきたい。

※本記事は『+act.(プラスアクト)2026年6月号』(ワニブックス:刊)より、一部を抜粋編集したものです。

「原はこのライブのことは何も知りません」

――ルミネで初めて単独ライブが決まった際の率直な気持ちを聞かせて下さい。

吉野:やっぱり嬉しかったですね。ルミネは、相方の原が芸人になる前に観に行っていたくらい思い入れのある場所なので。相方の思い出深い場所で単独ができるという意味でも嬉しくて。

原:僕、地元が九州なんですけど、年1回の家族旅行で東京に来た時は、絶対にルミネに行ってたんです。トータルテンボスさんとかチュートリアルさんとか『M-1グランプリ』の決勝に行ってた方々を観ていた、憧れの舞台でしたね。

吉野:だからいい単独にしたいと思ってたんですけど、ライブタイトルにもあるように地獄の三人衆が来てしまって…。

原:いや、来てしまってじゃないんだよ。

吉野:地獄の三人衆を簡単に説明すると、僕にお笑いの全てを教えてくれた師匠である尾藁井笑街川瓦(おわらいわらがいがわかわら)という方と元々親友の町田和という名で、闇堕ちしてしまった灼眼の悪魔・ノベルコアと、お笑い研究施設・お笑いラボ、通称オワラボで研究されていた高性能演芸AI・マスターラフ。その3人が来ることになってしまったんです。

原:いや、意味わかんないよ。

吉野:僕の単独をやると知って来ると言い出したことによって、僕達と地獄の三人衆の三番勝負になってしまいました。本当はちゃんとした単独ライブをやりたかったんですけどね。必ず倒そうと今は意気込んでいます。

原:一個もわかんないって。何が起きてるんだよ。

吉野:尾藁井笑街川師匠は僕が14歳の頃に初めてお会いして、そこからお笑いの全てを教えていただいた方です。7年前、山にこもってから消息不明だったんですけど、今回、地獄の三人衆として我々の前に立ちはだかってきました。

原:師匠に何があったんだ。

吉野:本当に! この単独でその辺りも明らかにしたいですね。優しい師匠で、
まさか敵対関係になると思わなかったので驚いています。原が楽しみにしてた
単独をこんなことにしやがって…許せないです。

――話を聞いている原さんの手のもじもじが止まらないんですが?

吉野:ちなみに、原はこのライブのことは何も知りません。

原:はい。その、なんだっけ? おわらいがわら?

吉野:笑街川!

原:初めて聞きました。3回戦うということだけ把握してるんですけど…。

吉野:そう。尾藁井笑街川師匠と原、ノベルコアと原、マスターラフと原で漫才する間に、それぞれめぞんの漫才が入る三番勝負となっています。原がちょっと大変なんで申し訳ないんですけどね。

原:おまえだろ、大変なのは。おまえは3回、着替えがあるってことだろ?

吉野:(笑)。原はやったことない人と漫才をやらなきゃいけないので負担が大きいですけど、10年培ってきた経験値で乗りこなしてくれると信じてます。そもそも、なぜ地獄の三人衆と戦うのか。正直、無視すればいい話じゃないですか。

――(笑)。まぁ、はい、そうですね。

原:ライターさんはそこまで気にしてないんだよ。

これ以上卑怯な真似はやめて正々堂々かかってこい

吉野:地獄の三人衆は、吉本の全ての劇場に人の怒り以外の感情を奪う爆弾、通称F4爆弾というのを仕掛けたと言ってきて。我々に突きつけてきた止めるための条件が、三番勝負をすることだったんです。吉本の全社員、全芸人、そしてお客様が人質に取られている
状態なので、勝って単独を成功させたいんですよね。

原:なんで地獄の三人衆はそんなにヤバいことしてきてるん? おまえがなんかしたんじゃない?

吉野:先ほど師匠は7年前に山にこもったと話しましたが、その時、僕に笑いを続けろとだけ言っていなくなったんです。師匠は『M-1グランプリ』を嫌っていて一門に
『M-1』禁止を謳っていたので、それがトリガーになっているのかもしれないですね。

原:俺らが昨年、決勝に出たのがバレたってことか。

吉野:その可能性はある。師匠、高尾山にこもられてたんですけど。

原:いねぇよ、そんなヤツ。

吉野:これはライブ中に明かされていくことなので深く話せないんですけど、鍵
を握る少女がいることは書いておいて下さい。で、町田和ことノベルコアは、僕が
『リトルスモールハイスクールマンザイ』という大会に出た時に組んでいた相方な
んです。

原:そんな大会、ないんだよ。

吉野:町田和はこの大会に囚われて小学校を卒業しないという選択肢を取って留年し続けたことによって、僕と決別したんです。けど、僕が高校生になって『ハイスクールマンザイ』に出た頃、ある山にひとりで消えていったって証言があって。まぁ高尾山なんですけど。

原:高尾山! また?

吉野:戻ってきた時には悪魔に姿を変え、ノベルコアになっていたんです。マスターラフは僕の父親がオワラボで働いてまして、高性能お笑いAIを研究していると聞いてたんです。この前、その父親から遂にマスターラフが完成したと電話があって。この研究のお陰で…くらいで電話が切れて、そのあとは何度連絡しても繋がらなくなってしまったんです。しかもオワラボも消滅したと聞いて…高尾山の地下にあったんですけど。

原:え! また高尾山!?

吉野:全ての人を笑顔にするはずのマスターラフが、地獄の三人衆という笑いを消す側として僕達に立ち向かおうとしているのが謎が深いですし、同時に僕は父親の所在も探していきたいと思っています。

――吉野さんはこう言ってますが、ルミネが憧れの舞台だった原さんは初単独だからこそやりたいことも他にあったんじゃないですか?

原:そうですね。

吉野:(原の言葉を遮って)本当はおしゃれなフライヤーでおしゃれなタイトル、例えば『時雨』で、雨の中、傘を差してるポスターで漫才をやる予定だったんですけど、地獄の三人衆が来てしまったことによって、全てが水泡に帰すという。原が家族で来ていた思い出のルミネを潰されて、正直はらわたが煮えくり返ってますよ! この記事を地獄の三人衆も見ると思うので、これ以上卑怯な真似はやめて正々堂々かかってこいって書いておいて下さい。

めぞんさんへのインタビュー記事は、発売中の『+act. (プラスアクト) 2026年6月号』に全文掲載されています。