9月21日、大阪拠点のアイドルグループ・カラフルスクリームの“かれん”が、自身のXで作家の朝井リョウさんの著書紹介文をネタにしたポストを投稿したところ、46万いいねという驚異的なバズを記録! ということで実現した奇跡の対談ですが、やはり朝井さんの最新作『イン・ザ・メガチャーチ』について語らないわけにはいかない。推し活ブームの光と影を容赦なく描いた作品を、現役アイドルはどう読んだのか!?
ファンの方にお薦めするか迷いが…(笑)
――かれんさん、『イン・ザ・メガチャーチ』は読んで頂けましたでしょうか?
かれん:読みました! 面白かったです!!
朝井:お忙しい中ありがとうございます。そして現役アイドルの方に読んでいただくのを迷うような本を、すみません!
かれん:身近な内容というか…(困笑)。ちょうど『イン・ザ・メガチャーチ』を読んでる時にファンの方に“今何の本読んでるの?”って聞かれて、これをお薦めしそうになったんですけど…。いや、ちょっとどうしようかなって迷いが…(笑)。
朝井:自撮りの後ろの、本棚の端に見切れてるくらいがちょうどいいかも。決してお薦めはしない姿勢で!

――分かる人には伝わる的な(笑)。ちなみにかれんさんが、一番“ちょっとどうしようかな?”って思ったポイントはどのへんでしょうか??
かれん:ファンの皆さんはきっと私に何かの魅力を感じて、応援してくれていて、それはすごくプラスなことだと思うんですけど、同時にやっぱりお金も発生しているので、“私なんかにそんなにお金を!”とはいつも思っているんですよね。すごくそこをリアルに描いてる部分があるので…。
朝井:すごくしっかり読んでくださった方の感想だ…!
――推し活における、課金とかの経済的な面の描写はリアルを極めてますからね〜。
かれん:でも、実際この中にも出てきますけど、配信とかでアイテムをもらった時に、申し訳なさそうにするよりも純粋に喜んだ方が、あげた方も絶対嬉しいと思うんですよ。
“視野”って言葉が何回も出てくるんですけど、視野を広く持って、お金のこととかまで色々考えると、感情も出せないし行動も起こせなくなる。視野が広ければ良いわけじゃないっていうのは、すごい考えさせられました。
――課金の話から、この話の本質的なテーマの1つの“視野”の話に直結するのが流石ですね。推し活に熱狂できる“視野の狭い”層と、それを批判したり利用したりする“視野の広い”層との対比が鮮やかに描かれています。
かれん:朝井さんはどっち側にいるんだろう? って思いました。
朝井:私は小説を書くときに、両義性を大事にしたいって気持ちがあるんですよね。視野が広い、狭いに関しても、それぞれの良し悪しを同じ解像度で書きたいんです。今の私は、特定の人物に感情移入してその成長を見守ってもらいたいとか、そういうことを思っていなくて、それよりもこの時代の空気感みたいなものをそのまま文章として残す作業に興味があるんです。
それを実現するためには、思想が異なる人たちや一つの習性の両義性を同じ解像度で描くっていうのが大事だと思っていて。特に今回はその点を意識しながら書いたので、作者がどの考えを推奨しているのかわからない状態は一つの理想でした。

かれん:いろんな人の視点になって、それを全部書かれたっていうのは本当にすごいと思います!


Newsクランチ編集部






