1年目のオフに解雇通告され号泣
さあ、2年目頑張るしかないと思った矢先だよ、1年目のオフにクビを言い渡された。球団に呼ばれて行ってみたら、「お前はもうプロでは無理だ。再就職は早いほうがいいから、田舎へ戻ってやり直せ」と言うんだ。
猛抗議したよ。まだプロで何もやってないじゃないかと、だいたい二軍の試合にも出してくれないじゃないかと。給料なんていらんから、あと1年いさせてくれと。せめて1回でいいからキャッチャーとしてチャンスをください、それでダメならあきらめますと、わんわん泣きながら言ったわけだよ。
京都を出るときに、万歳三唱で送ってもらっていたからね、おめおめと帰れんだろ、いくらなんでも。ご近所にも母親にも合わせる顔がない。
それでも球団側は「わしらプロだからわかる。お前は無理だ」の一点張り。だから俺も「どうしてもクビなら南海電鉄に飛び込みます!」って言ってしまったんだ。今思えばめちゃくちゃなんだけどな。必死だった。そしたら向こうも、こりゃ何言っても無駄だと思ったんだろうな。とうとう折れて、なんとか1年の契約延長ということになった。首の皮一枚で残れたわけだ。
あのとき、あそこまで抵抗しないで、すんなりクビを受け入れていたら、京都へ戻ってどこかの小さな会社にでも就職していたのかもしれないな。今さらだけど、人生というのは紙一重の世界だと思うよ。