この連載の主軸であり、私の好きなものである甘味。
ただの甘党である私だがその中でも特に愛してやまないものがある。
第3回にしてようやく言える。
隠していたわけではないがこの場においてこれを言わないことに若干の違和感が生じていたほどに言いたかった。
あんこが…大好き!
今回私が漂流いたしましたお店は、代官山にある「の・はぎ」というお店です。
冒頭の続きだが私はあんこが大好きである。
「都内たい焼きランキング」や「都内三大どら焼き」と呼ばれるものはだいたい食べているし、あんこを自分で炊きもする。
余談だがあんこは何より炊き時間による水の加減が非常に難しい。
なんといってもあんこはそのバランスに良さにより和菓子としてあまりに全てを凌駕していると思っている。
無限に食べられる程よい甘さ。安価であること。栄養価の高さ。汎用性の高さ。
あんこがすきで嬉しいと定期的に感じる。
つまり、たくさんの条件を出しましたが結局は味と食感が大好きなのだろう。
あんこにまつわる一番古い記憶を思い出した。
小さいとき祖母が、
「よう食べんからみーちゃんたべて」
と半分食べさせてくれたスーパーの二個入りのおはぎ。
頬張った瞬間に美味しいよりも先に幸せだという感情があふれた。
私は好物や本当に好みの味に出会ったときに真っ先に
「幸せです」
と感じる。
多分、人よりもかなり食べることに向いている。
あまくて柔らかくて、夕飯前で一番空腹だったこともあり大きなおはぎを一つペロッと平らげてしまった。
曲げわっぱ入りのおはぎ
今回のお店は店名からも想像つく通り、おはぎのお店。
入店してまず初めに目に入るのは平たい木のショーケースの中に色ごとに分かれて整列している、赤ちゃんのこぶし程の小さなおはぎ達。
もちろん単品注文もできるが、せっかくのサイズ感なので全種入りにした。
私が気になったのはタンカンのおはぎ。オレンジのビタミンカラーで私の知っているおはぎと想像の範疇ではうまく交わらなかった。
手元に来た丸い曲げわっぱを開けるとさっきまでは別々だった幾つものおはぎが1セットになっている。
そのカラフルさや形の均一さが、私のどことも言い難い、大人になってからは心の奥にしまわれている部分がピンポイントでくすぐられた。


平岡海月











