太りやすい体質、太りにくい体質を決める要素のひとつに「腸内環境」がある。これを整えれば、短鎖脂肪酸(たんさしぼうさん)が脂肪酸に働きかけ、脂肪の蓄積を止めるようになると医師の小林弘幸氏がヤセる方法を語る。

※本記事は、小林弘幸:著『2週間でヤセる法則』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

人には天然の「肥満防止システム」がある

太りやすい体質、太りにくい体質というのがあります。この個人差を決める要素のひとつに、「腸内細菌の種類の違いがある」ことが最近の研究でわかってきました。一般的には、摂取カロリーと消費カロリーのバランスによって、ヤセるか太るかが決まると言われます。運動で燃焼させるカロリー以上に食べ過ぎてしまえば太る──それが常識でした。

その理論に基づき、食事制限によって摂取カロリーを抑え、有酸素運動によってカロリーを燃焼させて、ヤセようと必死に苦労している人も多いことでしょう。大まかに言えばその通りなのですが、同じものを食べて、同じ運動をしても、太りやすい人と太りにくい人がいることにもお気づきでしょう。

その説明として、筋肉質の人は代謝が活発になるため太りにくく、筋肉が少ない人は太りやすいと言われます。それもまた、大まかにはその通りなのですが、同じ筋肉量の人でもやはり、太りにくい、太りやすいの個人差があることがわかっています。

脂肪細胞は、飢餓状態に備えて、エネルギーを脂肪としてため込む性質を持っています。摂取した過剰な脂肪を際限なくため込んで、どんどん肥大していく──これが肥満のメカニズムです。

太りやすさの個人差の謎を解いたのが、東京農工大学の木村郁夫(いくお)特任准教授でした。

腸の中に棲息(せいそく)する細菌のうちのいくつかは、食べ物を分解して「短鎖(たんさ)脂肪酸」という物質を作ります。短鎖脂肪酸は、血液を通して全身に送られ、やがて脂肪細胞にも届きますが、脂肪細胞はこの短鎖脂肪酸を感知すると驚くべき反応を示します。なんと細胞内に脂肪を取り込むのを止めるのです。

つまり短鎖脂肪酸が、「栄養は十分足りているので、もう脂肪として蓄える必要はない」というメッセージを脂肪細胞に伝えるというわけです。

また、短鎖脂肪酸は自律神経にも働きかけ、交感神経を刺激します。すると代謝が活発になり、摂取したエネルギーを消費し始めます。脂肪の取り込みをやめるだけでなく、さらに燃焼を促進するのです。

このように人間は、天然の「肥満防止システム」というべき働きを備えています。そのキーになるのが、腸内細菌によって作られる短鎖脂肪酸だったのです。