鳥海「U-23世界選手権で金メダルを!」

書籍の執筆のきっかけについて聞かれた二人は、それぞれ以下のように答えた。

古澤 「12歳で脊髄の病気から車イス生活になり、野球ができなくなったことに絶望していた。北京パラで車いすテニスの国枝慎吾選手が活躍するのを見て、車椅子でもかっこいいんだと感じた。今度は東京パラで銀メダルを取った僕らが先輩たちと同じように、次の世代の子どもたちに『車椅子でもかっこよくなれる』と思ってもらえるときが来たと思った」

▲3ポイントシューターとして活躍する古澤

鳥海 「バスケットを始める前、幼少期からの経験は、きっと誰かの参考になるだろうと思っていた。僕の本というより、僕を育てた母の本でもある。ただ一冊の本にするには壁があったけど、五輪で銀メダルを取ったタイミングで、ここしかないと思った」

▲執筆のタイミングについて語る鳥海

トークショーでのやりとりには、古澤がバスケットとテニスと両方をやっていて、2013年に東京パラの招致が決まったときにバスケットを選択したエピソードや、鳥海がアルペンスキーを体験して冬競技にも関心があることを披露、ファンには興味深い話だっただろう。

今後の展望について、鳥海は「9月にタイでのU-23世界選手権で金メダルを持って帰って、タクちゃんにドヤりたい」と言うと、古澤は「前回のU-23は僕がキャプテンとしてベスト4に導いた。レンシたちはそこで力をつけたのだから、金メダルをとったら僕のおかげ」と笑わせた。

選手でありながら、パラ神奈川のチームメイトとともに大会やイベントの主催や運営も手掛けているという二人。従来の車椅子バスケットの概念を覆すものを企画しているという。未来の車椅子バスケットを担う二人の活躍に今後も注目だ。

▲仲よく自撮りでツーショット撮影

▲『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』
プロフィール
古澤 拓也(ふるさわ・たくや)
1996年神奈川県生まれ。車いすバスケットボール男子日本代表。WOWOW所属。パラ神奈川スポーツクラブ在籍。先天性疾患(二分脊椎症)とその合併症の影響で、小学6年から車いすでの生活となる。13歳の時に車いすバスケットボールを始め、高校2年でU23日本代表デビュー。2017年のU23世界選手権では、キャプテンとして日本のベスト4進出に貢献、自身もオールスター5に選出される。日本代表として出場した東京2020パラリンピックで銀メダル獲得。『車いすでも、車いすじゃなくても、僕は最高にかっこいい。』(小学館)が発売中。Instagram:@takuyafurusawa7
▲『異なれ -東京パラリンピック車いすバスケ銀メダリストの限界を超える思考-』
プロフィール
鳥海 連志(ちょうかい・れんし)
1999年長崎県生まれ。車いすバスケットボール男子日本代表。WOWOW所属。パラ神奈川スポーツクラブ在籍。生まれつき両手足に障がいがあり、脛(けい)骨が欠損していた両下肢を3歳の時に切断。2011年に佐世保WBCで車いすバスケットボールを始めると、すぐに九州地方で頭角を現す。17歳でパラリンピック2016年リオ大会に出場。2021年東京大会では、大会MVPに選出される大活躍で、チームを大会史上初の銀メダルに導いた。『異なれ』(ワニブックス)が発売中。Instagram:@iamrenshichokai