この連載で触れたこともあるが、 
オレの親父はとにかく破天荒で酒に女にギャンブル好きの
“ほぼ山賊の親分”のような人だった。 

しかも親父がキッカケで中1から一人暮らしをするはめにもなった。
(詳しくは『中1、一人暮らし、意外とバレない』という本を出しているので是非読んでください)

良いね。流れるような告知。素晴らしい。

そんなめちゃくちゃな親父だったけど、恨んでるとか、ふざけんなとかはなくて余裕で感謝している。

実は愛を注いでくれていたし、たくさん面白いエピソードをくれて、そのおかげでテレビにも出れたし本も出せた。この連載だって出版社の方との縁で書けている。

このエッセイでは日々起きた自分の反省を綴っているけど、親父に対してオレがずっと反省というか後悔していることがある。


それは親父と“本音”で喋っていないことだ。


大人になってから一緒に飲みに行ったり、ナンパしたり、合コンしたりと通常の親子では作らない思い出をしこたま作ったけど、まともな会話はほぼなかった。

破天荒なスケベ豪快人間と、それにツッコむ人間でしか喋っていない。

子どもの頃から“ヤベェやつ”だと思ってたこととか、でも「ありがとう」と内心思ってたこととか、一緒にいて楽しいなと思ってたこととか。

普通の感情をお互いに一度も交換していない。

オレも親父も照れくさいと思ってたし、それがクールな関係性でカッコいいと思ってたからだ。

これが、すが一族のロマンなのだよ。って感じ。

多分親父もそれで良いとは思っているけど、やっぱり悔いは残る。

親父は4年前に病気で亡くなっている。
お墓の前で感謝の言葉くらい述べればいいんだけど、それもなんか照れてしまって一度もお墓参りにいけていない。

まぁでも、親父に対して悔いを抱えながら生きるのもカッケェか……と、お得意の「カッコいいマインド」で落としどころをつけようとしたところ、突然チャンスが訪れた。

『Replay Life』(NHK)という、人生で悔いが残った瞬間をもう一度リプレイする番組で、親父が人生で最後に行った旅行をリプレイすることになったのだ。

もちろん時間を巻き戻す事なんて出来ないから、その瞬間を再現したり、同じ状況を作って追体験をしていく。

親父が癌を患ったあと、親父はオレを旅行に誘った。
でも、親父は自分が病気になったことをオレに隠していたし、オレもまさか最後の旅行になるなんて思ってもいなかったから、仕事もあったし、その誘いを断った。

あの時、旅行に行っていれば、少しは落ち着いてお互いのことを話せたのではないだろうか。

『Replay Life』の番組の冒頭、オレの叔母さんであり、親父の姉である“かっちゃん”がロケに参加するというサプライズ演出もあった。

かっちゃんは、母親を早くに病気で亡くしたオレを育ててくれた、第二の母のような存在だ。

オレが言うのもなんだけど、親父はとにかくお金のことやらなんだかんだと、かっちゃんに迷惑をかけまくった。

でも、かっちゃんはとにかく優しい人で親父を見離さずに面倒を見続けた。

かっちゃんはメディア出演を一切NGにしていたけど、親父との思い出を振り返れるなら……と出演を許可したらしい。

どこまでも親父思いの人だ。

最初は、オレの方がかっちゃんとロケをするのが小っ恥ずかしくて仕方なかったけど、むしろかっちゃんはカメラの前でも臆さずお喋りするので普通にロケが進んでいった。

いやなんでだよ。
なんでタレント性あるんだよ。