原作とはまた違う姿が見られる気がします

――演じる安倍はどんな人物でしょうか?

中川 かなりひねくれた人ですよね(笑)。京大に入れる頭の良さは持っていて、でも物事を見る視点がちょっと変わってる。このひねくれた人間性をどうすれば表現できるか……すごく難しそうだなと思っています。

僕自身は京大に入れるほど頭脳明晰ではないし、そこまでひねくれていないと思うので(笑)、安倍の人物像だったり、考え方だったりを想像することは難しいですが、それこそヨーロッパ企画の皆さんは頭脳明晰ですし、ちょっとひねくれたことに対しても、たくさんの引き出しを持っている方々だと思うので、“この人たちを参考にしたら安倍に近づけるんじゃないか”と気づいて(笑)。

――思わぬところにヒントがあったんですね(笑)。

中川 はい(笑)。特に上田さんは視点がすごく鋭いじゃないですか。そこは原作者の万城目さんとも通じるところがあって、参考にできたらいいなと。あとは『鴨川ホルモー』は映画にもなっていて、映画版の山田孝之さんが演じる安倍の人間不信な感じもうまく取り入れて、自分なりの安倍を表現できればと思います。

 
 

――ちなみに、中川さんの学生時代はどうでしたか?

中川 学生生活はちょっと安倍と似ているかも。別にクラスの人気者でもなかったですし、イケてるグループにも属していなかったですし(笑)。めちゃくちゃ面白いヤツもいて、見るからにケンカが強そうなヤツもいて。そういう人たちに対して“僕は全然目立てていないな”って、ちょっと引け目を感じていたぐらいでした(笑)。そういう部分は安倍と共通する感覚だと思います。

――原作のなかで“ここはどう表現するんだろう?”って、気になるシーンはありますか?

中川 原作では“吉田代替わりの儀”といって、神社に舞を奉納するようなシーンがあるんですけど、そのときに全裸になるまで服を脱いでいくんですよ。そこはどうするのかと上田さんに聞いたら、「できるだけ原作通りにする」って仰っていたので不安です(笑)。

――ヒロイン・早良京子を演じられる八木莉可子さんとは初共演ということですが、八木さんはどんな印象ですか?

中川 八木さんはご一緒する前から作品を見ていて知っていて、すごい純粋そうで芯がある人だなと思っていました。初めてお会いしたときもそれを感じて、早良っていう役にぴったりだなと感じました。今作でのヒロインの立ち位置だったり、関係性だったり、そういうところは“ワンスモア”ということなので、早良の良いところも出てきたり、原作とはまた違う姿が見られる気がするので楽しみです。

――原作とは違うけど面白い、そこがヨーロッパ企画の魅力でもありますよね。

中川 そうなんです。例えば、原作では京大以外の他大学の人物描写が深く描かれているわけではないので、舞台ではその役の自由度が高くなってキャストの皆さんの個性が爆発しそう(笑)。今回の舞台では、演じる役的にも僕はあまり笑わないほうがいいと思っているんですけど、こらえられるか不安です(笑)。ヨーロッパ企画さんの舞台で笑わないのは逆に失礼かもしれないですけど、できるだけ我慢したいと思います!