写真集『HANA-UTA』のテーマとなった花言葉
木戸は7月1日にファースト写真集『HANA-UTA』(ワニブックス刊)を発売した。これまで見たことのない多彩な表情と、生い立ちから現在の思いまでを綴ったロングインタビューが収録されている。
「完成された写真集を見たとき、想像以上に美しいなと思いました。紙の触り心地もページごとに違っていて、1ページ1ページにこだわりを感じました。じつは“もっと恥ずかしいかな”と思っていたんです。でも、衣装はもちろん、景色なども込みで、恥ずかしさを凌駕するレベルに美しくて。ひとつの作品を見ている気分になりました。
お気に入りの1枚は、夕方の海で撮影したカット。あの日は天気が悪くて、夕日を撮れないかもしれないと思っていたんです。諦めかけたときに、ぱっと夕日が顔を出してくれて。その奇跡的な思い出も相まって選びました」
写真集を初めて見た感想を語る木戸は、取材現場にいた全ての人を虜にする笑顔だった。この写真集のタイトルは『HANA-UTA』。これには2つの意味が隠されているという。
「ブーゲンビリアという白いお花をテーマにしています。花言葉は“あなたはステキです”という意味。これは、俳優活動をしてから7年間の集大成として、自分自身にかける意味もありますし、いつも応援してくださってる方、お世話になってる方に花を通してメッセージを伝えたい、そう思って採用しました。
あとは、自分がよく鼻歌を歌っていることも由来になっています。自分では自覚がなかったのですが、お世話になっているスタイリストさんから、ふと言われたことがあって(笑)。歌っているときが自然体なのかもと思ったんです。SNSで流れてくるような曲、流行りの曲を無意識的に歌っていることがあるみたいです」
自分らしさ=自然体でいること
“自然体”――木戸を語るうえで外すことのできないキーワードの1つ。そう感じたのは、写真集の撮影で彼が意識したことにある。
「写真集の撮影に向けて、こういうことを頑張ろうとかは意識しないようにしました。力を入れてカッコよく、美しく、というのを意識しすぎると、“見て!”という感じが強くなってしまうと思ったんです。
そうあるよりも、そのページに収められている景色も含めて見てほしいと思ったんです。映画やドラマを撮っているときも、“自分だけを見て”と思って芝居はしないから、それと似た感覚でした。だから、沖縄の景色だったり、バーにいる雰囲気だったりというテーマにおいても、ただ存在する、そこにいることを頑張りました」
シチュエーションや表情ひとつとっても、さまざまな木戸が見られるのは、演技においてもブレることのない自分らしさでもあると話す。
「お芝居をしているときも“意識せずに自然体でいるのが一番いいよ”と言ってもらえることが多いんです。役を演じているけど、ちゃんと自分のフィルターを通していること、自分とかけ離れたものをやろうとせずにいたほうが良さが出るよって。
ただ、自分っぽさだけで演じてしまうと、どの役をやっても“一辺倒な芝居”になると思うので、作品ごとの色は見せていかなきゃいけないと思っています。もし、自分とかけ離れた役に挑戦しなきゃいけないときには、そこでまた作り方を考えればいい。無理はしないけど、ちゃんと変化を見せることを意識しています。
今回の写真集においても、どんな髪型で、どんな景色で、どんな時間帯にいたとしても、落ち込んだり、テンションが上がっている自分がいることを意識しました。カッコつけている自分は嘘だなと思ってしまうので、カメラを意識しすぎないように気をつけました。
そうは言っても、夜のバーのシーンでは自分自身の経験を引っ張ってきていたはずなのに、ちょっと太宰治をイメージしてみたり、力が入っちゃったこともありました(笑)。そういうときは、スタッフさんから“もっと力抜いていいよ”と言われました」
ここまで話を聞いていて、木戸から“カッコつけている”という印象は全く受けない。良い意味で親近感のある普通の27歳。しかし、4月期と7月期と連続してドラマに出演して注目を集めているのには、それだけ彼に魅力があるからだ。
「喜怒哀楽という4つの大きく分けた感情が、この写真集には載ってます。決して、楽しいニコニコというだけでなく、いろんな感情が垣間見えるような写真集になっていると思うので、“大聖くんって、こんな表情をするんだ”と見てもらえたらうれしいです」
最後に、木戸が8年目となり心がけたいことを語ってくれた。
「芸能界に入ってから8年目になるのですが、いろんなお芝居や経験をさせてもらってきた7年間だったと思っています。そのなかで、人との関わりだったり、人への感謝だったり、初心を忘れないことが大事。経験を重ねてきたときほど忘れちゃいけないなってすごく思うんです。
だから、毎回、新鮮な気持ちで現場に行くというのを大切にしたいです。新しく出会うスタッフさんたちだったり、共演者の方へのリスペクトだったり、経験を重ねてきてるからこそ、大事なことだと改めて思うんです」
(取材:於ありさ)