カッコ悪い未来は想像もしたくない
6月まではすでに舞台のスケジュールが決まっていたため、プロレスと役者の“二刀流”生活が続いた。芝居の稽古と本番、そして道場でのプロレスのトレーニングに地方遠征を含めた試合……どちらも最前線での活動だけに、かなりヘヴィな日々が続いた。
「ファンの方も両立、がんばってくださいって応援してくださって。半分プロレス、半分舞台という生活だったんですけど、なかなかバランスが取れなくて。普通なら舞台の千秋楽が終わるとホッとひと息つくんですけど、すぐにプロレスの試合があるので、ここでスイッチをオフにしたらダメだと思って、4月からずーっとスイッチを入れっぱなしで過ごしてきたんですよ。
私、家で自分のスイッチを切ると、まったく動けなくなって、なんにもできなくなってしまうタイプなので、気持ちをオフにすることができなかったんです。どうしてもツラいときは近所のカフェに行って、個室みたいなボックス席に座って、そこで2時間とか3時間とかボーッとしていました(苦笑)。
ある程度、役者としてキャリアを重ねてきて、こういう気持ちになることもなかったので、この数か月間はものすごく貴重な経験をしたなって。きっと、この経験はこれから活かされるんだと思います。
とりあえず6月の舞台でそちらのほうの活動は一旦、お休みにして、しばらくはプロレスに専念します。少なくとも年内はプロレス一本ですね。専念というか、プロレスに集中できる、プロレスだけに振り切れるので、ここからが勝負だと思います」
ファンの期待感は非常に大きいが、まだプロレスラーとしてのキャリアは僅かに数か月。そのあたりのギャップはどう感じているのか?
「プレッシャーはゼロ……と言ったら、ウソになりますね。たくさん注目していただけているのはありがたいんですけど、なかなか結果が出せないでいたら“なんだ、たいしたことないじゃないか”とすぐに離れていってしまうと思うので。
変な話、ツラかったらやめればいいじゃないですか? でも、私にはそれだけはできない。だって、わざわざマリーゴールドの設立会見に乗りこんでいって『プロレスラーになります!』って啖呵まで切っているんですよ。そこまでしたのに数か月で潰れてしまったら悔しいっていうか、カッコ悪いじゃないですか! そんなカッコ悪い未来は想像もしたくないし、自分を鼓舞しながら、がんばっていきたいと思います。
(林下)詩美さんとタッグを組ませていただくことが多いんですけど、本当に数か月前までは考えもしなかった状況なんです。今まで私がずっと参考にさせていただいて、こっそり会場まで行って試合を見ていたのが、ジュリアさんと詩美さんだったんです。
そんな方とタッグを組んで、いろいろなアドバイスとか……えっと、ハッキリ言えばダメ出しですね(笑)。いや、詩美さんにダメ出ししていただけるなんて信じられないような話だし、それをしっかりと活かして成長していきたいです。本当に人生が変わりました!
今までいろんなところで、“私、負けず嫌いじゃないです”みたいなことを話してきたような気がするんですけど、どうやら負けず嫌いだったようですね(苦笑)。これもプロレスラーになっていなかったら気づけなかった自分の内面だと思いますし、プロレスラー・天麗皇希は人格も含めて、これからどんどん出来上がっていくと思うので、その過程も見ていただけたらうれしいです。今ならまだ古参になれますよ(笑)。
いつか“俺、あの天麗皇希が初めて両国国技館で試合をやったとき、会場で見ていたんだよ!”と周りに自慢できるようなプロレスラーになれるようにがんばりますので、ぜひ、会場に応援しにきてください!」
7月13日、両国国技館で開催されるマリーゴールド初のビッグマッチ。天麗皇希は173cmの後藤智香との『ツインタワー』で、記念すべきオープニングを飾ることとなった。女子プロレスの歴史に刻まれる新しい1ページは、この試合から始まる!
(取材:小島和宏)
MARIGOLD Summer Destiny2024
2024年7月13日(土) 両国国技館
開場13:00 / 開始14:30
詳細:https://dsf-marigold.com/schedule/day/0713.html