旗揚したばかりの女子プロレス団体・マリーゴールドで、プロレスラーとしての正式デビューを飾った天麗皇希。もともとは役者としてのキャリアを積んできた彼女が、本格的にプロレスの道を歩み始めるきっかけや、今後の目標などをニュースクランチが直撃した。

▲天麗皇希【WANI BOOKS-“NewsCrunch”-INTERVIEW】

大きな会場での試合に刺激を受けた

それは電撃的衝撃だった。

5月20日に後楽園ホールで旗揚げした女子プロレス新団体・マリーゴールド。噂の仕掛け人・ロッシー小川氏が代表を務めていることもあり、旗揚げ戦は「何かが起こる!」という期待感が超満員札止めの客席に充満しまくっていたのだが、その「何か」のひとつが超新星誕生の瞬間だった。

この日がデビュー戦となる天麗皇希。彼女こそが超新星だった。

170㎝の長身。バランスのとれたボディーなのに、顔がものすごく小さい。そのフォルムだけでスターオーラ全開! そして、その体躯を活かした必殺のアメジストバタフライ(コーナー最上段からの旋回式ダイビングボディープレス)。昨日まで存在しなかったプロレスラーが一瞬にして最上級の輝きを放ち、ファンの大注目を集めた。

デビュー戦といっても、まったく経験がなかったわけではない。彼女は女優やタレントがリング上で闘う『アクトレスガールズ』に参加。あくまでも「これはプロレスではありません」というのが団体のウリだったが、しっかりとプロレスのトレーニングを受け、プロレスファンが見ても納得できるレベルの試合を定期的におこなってきた。

ただし、「プロレスではない」と謳っていたことで、ほとんどプロレスファンの目に触れることなく、約2年間、純粋培養されてきた。だからこそ、ある日、突然出現したような錯覚を多くのファンが覚えてしまった。ある意味、情報化社会の現在では極めてレアなケースである。

そもそもプロレスラーになるつもりはまったくなかった。リングに立つようになったのも、あくまでもアクションの一環としてだった。だが、今年に入って気持ちが揺れ動きだした。

「月に7試合とか、試合の回数がかなり増えたんです。全日本プロレスさんのリングに提供試合として上がらせていただいたりして、大田区総合体育館でも試合をしたんですよ。やっぱり大きな会場でお客さんの前に立つと、またこの光景が見たい!ってなるじゃないですか?」

「天麗皇希」って我が強いのかな?

そんなタイミングで新団体・マリーゴールドが旗揚げ。皇希はプロレスラーとして正式にデビューすることを決めた。昨年まではまったく考えていなかった急展開。そして、芸名として使っている皇希とは別に、リングネーム『天麗皇希(あまれい・こうき)』を名乗ることとなった。

「もともと皇希という芸名も、本名とはまったく関係ないんですよ。あの……自分でこういうことを言うのもなんなんですけど、本名の自分ってすごくダメで、どうしようもないヤツなんですよ(苦笑)。

でも、皇希という芸名をつけたことで、普段の私ならできないようなことでも“皇希だったら、こうするよね?”とか“皇希なら、こんなこともできるよね?”って、力を出すことができたんです。本当に本名の自分は人前に出るようなタイプじゃないんですよ、面白くないし(笑)。

リングネームの天麗皇希は名乗り始めたばかりなので、正直、まだ馴染んでいないんですよ。天麗皇希の人格がまだ自分でもわかっていないんですけど、いまちょっと感じ始めているのは、天麗皇希って我が強いのかなって。

役者はいろんな役を演じるから、あんまり我が強いのはよくないって言われますけど、プロレスラーはガツガツいかなくちゃいけない部分もあるので、これでいいのかな。

この前の名古屋の試合で石川奈青にしつこく絡まれたんですけど、試合後のバックステージで私、すごく感情的な言葉遣いでコメントを出したんですよ。自分でもびっくりしました。普段の自分なら絶対にあんなこと言わないし、役者の皇希でも、あんなことは言わないから。

今までは自分のことでいっぱいいっぱいだったんですけど、その時期は見ている世界が小さかったんだなって。こうやって感情をむき出しにできたのは、きっと視界が広がったからだと思うんですよ。いや、石川奈青が無理やり、こじあけたのかもしれませんけど(笑)。

6月の後楽園では、ボジラ(181㎝の超大型外国人女子レスラー)と6人タッグで初めて当たったんですけど、今まで自分より大きな選手と闘ったことがほとんどなかったので、向き合った瞬間、平気そうな顔をしていましたけど、心の中では“うわっ、デカっ! ヤバっ!”って(笑)。本当に毎日、新鮮で刺激的な経験の連続です」

▲「天麗皇希」としての新たな一面に気づいた