白い朝に、きつね色の答え

淡い朝の光にたっぷりと浸かった店内は、息を吐くように自然に込みあがる涙を隠さなくても良いような気持ちにさせてくれた。

今回私が漂流したお店は日暮里にある『羽二重団子 本店』。

江戸時代から続く老舗で、正岡子規や夏目漱石が訪れて作品に羽二重団子の名を残していたそうだ。

味は、焼き団子と餡団子の二つがある。私の中で団子と言えば焼きのイメージがあるので焼き団子を選んだ。

見た目はシンプルで丸く、中央がすこし窪んだ形をしている。全体がきつね色に染まっていて、窪みの淵には焦げ目が付いている。テーブルに運ばれてきた途端に醤油の香ばしい香りが漂ってきた。

香りに誘われて早速団子を口に入れると、あまりのシンプルさに驚く。
味付けは醤油のみ、団子は弾力が強く噛みごたえのある食感。弾力に促されてよく噛むと団子そのものの甘みが出てくる。
一口でわかる、いくらでも食べられる類の食べ物だと。

本当にシンプルな美味しさで、これ以上に私が文字で伝えられることが思い浮かばない。このシンプルな美味しさを是非皆さんにそれぞれの感覚で咀嚼してほしい。

変わらぬものに、救われる朝

私が訪れた時間は開店とほとんど同時の時間だった。
東京は毎日晴れているから朝の白い光に感動を感じにくい。

地元の福井に帰ると毎日雨か曇りで、晴れの日には何か今日のうちに干しておくものは無いのかなとそわそわしてしまう。干すのは母だから私がそわそわする必要はもちろんない。
東京には自称晴れ女と晴れ男がたくさんいて、福井には自称雨女と雨男がたくさんいる。私は福井に居た時からずっと晴れ女なので、本物の晴れ女だ。

そんな本物の晴れ女は、晴れ女であるというのに別に晴れ至上主義では無い。
雨や曇りの日もカーテンを開けた時にある程度その天気を楽しむ道筋を見つけることができる。
もっと若い頃は雨が好きだと言っていたが、その日の予定により好ましい天気が変わることに気付いた。気付かなくてもよかったと思う。

この日お店で団子を食べている時、空が晴れていることがこの上なく嬉しかった。
大きなガラス張りの窓から優しい、幸せな朝の光が入っていた。
晴れを喜ぶという素直すぎる気持ちを引き出されてしまった。

素直すぎるまま、江戸時代から変わらないその見た目と味が本当にかっこいいと思った。