Netflix『極悪女王』の大ヒットで、新たに興味を持つ人が増えている女子プロレス。そんな女子プロレスの世界において、ビジュアル、実力ともに、ファンからの注目度が急上昇中の美人ファイター(しかも、総合格闘技とプロレスの「二刀流」!)がいる。 その選手の名は、NØRI。2023年11月に、女子プロ界のレジェンド・神取忍率いる「LLPW-X」からプロレス再デビューした“強くてかわいい”二刀流ファイターNØRIの魅力に迫る単独インタビュー!
異色の“二刀流”美女ファイターの原点
「LLPW-Xから、いきなりかわいい選手が出てきた」。
ここ最近、目ざといプロレスファンの間では、そんなふうに囁かれていたNØRIの存在 。しかし、それが広い層にまで浸透していなかったのは、現在、彼女の所属する団体『LLPW-X』が定期的に興行をしていないため、試合数がそこまで多くなかったからだろう。
しかし、今年8月に他団体『マリーゴールド』のシングルのリーグ戦「DREAM*STAR GP2024」に、NØRI はLLPW-X所属選手として単独で参戦。一時は優勝争いにも絡むほどマリーゴールドの選手たちと好試合を連発し、地方大会にも出場したことで、多くのファンがNØRIを認知。マリーゴールドのファンからすれば「外敵」となるNØRIに、会場からは多くの声援が飛んだ。
「すごく嬉しかったですし、地方の会場でも応援いただけたのは、私自身もビックリしました。マリーゴールドのリーグ戦参戦が決まって、いざリーグ戦が始まるまでは、『LLPW-Xの看板を背負って出るからには、優勝を目指さないといけない』ってプレッシャーもあったし、何よりアウェーの会場に慣れていないので、出た瞬間、すごいブーイングだったら、どうしようって不安もあったんですよ(笑)。
でも、多くの声援をいただけたことで、逆に、私がお客さんの熱気にすごいパワーをもらえました。選手としても人としても、レベルアップというか、成長させてもらえる経験になりましたね」
そう語るNØRIの経歴は少し特殊だ。プロレスの試合では、切れ味鋭いローリングソバットや旋風脚など、多彩で激しい蹴りを主体とするファイトスタイル。そのバックボーンは、わずか6歳にして足を踏み入れることになった『マハーラージャカルーリカ&ヨーガ』だ。よほどの格闘技マニアでも、おそらく一言で説明できる者は少ないだろう。
「私自身、長年、お世話になったところではあるんですけど、公式サイトとか観ても、よくわからないですよね(笑)。キッカケは両親が通ってたからなんですけど、母がちょっと健康オタクみたいなところがありまして。たどり着いたのが、そこ(カル―リカ)だったんですよ。
インドの王族の護身術だったらしいんですけど、打倒極のほかに、二節棍やヌンチャクなどの棒術もあります。最初に『これがマハーラージャカルーリカです』って言われてやったわけじゃなくて、なんとなく流れのままにやっていました。
だから、私の独特のファイティングポーズも、マハーラージャカルーリカ仕込みなんですよ。もともと武術の構えなんで、目突きとか、凶器で攻撃されても、さばけるようにってことで、あの構えなんです」
なぜか『M-1』や『R-1』にもエントリー
「私自身は12歳くらいで対外試合にも出るようになって、キックボクシングとかアマチュアの試合に出させてもらう中で、14歳のときに、『プロになりませんか』とオファーをいただいて。それで、ムエタイの試合で、立ち技格闘技でプロデビューしたのが15歳のときです。その後、17歳のときに『DEEP JEWELS』でMMAデビューしました。
さらに、マハーラージャカルーリカ&ヨーガは芸能分野の活動にも積極的で。格闘技だけじゃなくて、いろいろやってみようみたいなことで、お笑いコンテストに応募したりもしてました(笑)。それこそ『M-1グランプリ』とか『キングオブコント』にもエントリー。ほとんどが1回戦で敗退してましたけど、R-1だけは一度、2回戦までいったんですよ(笑)。ちゃんと1人でネタもつくってやってました」
リング上や、バックステージでの彼女のマイクに堂々としたものを感じるのは、このときの経験も生きているのかもしれない。
そんなさまざまな経験を積みながら、NØRIは2017年4月に、女子プロレス団体『アイスリボン』で1度目のプロレスデビューを果たす。
「これも『女子プロレスやってみようか』みたいなところから始まった話なんですけど、私も結構チャレンジ精神旺盛だったんで。それでアイスリボンさんに『Team DATE』で乗り込んだっていう感じです。私としてはプロレスは楽しかったし、好きだったんですけど、怪我(眼窩底骨折)などもあって、活動できないまま退団しちゃったんです」
2021年にTeam DATEを脱退後は、実兄で男性格闘家のDARANI、実妹のKARENと新チーム『PRAVAJRA』を結成。リングネームをNØRIに改めて、総合格闘技の世界で実績を積み重ねていく。しかし、プロレスへの情熱も消えていなかった。
「MMAは続けていたけど、プロレスは未練が残ったまま辞めてしまっていたから、心残りがあったんでしょうね。2023年にプロレスに復帰するって決めたときに、どこでやろうかっていうのはすごい悩んだんですけど、神取さんのYouTubeで『LLPW-X』さんが選手を募集していた動画を観たこともあって、意を決して、自分から電話して『プロレスやりたいんです』って連絡しました」
そうして、2023年9月にLLPW-X 所属となったNØRIは、同年11月21日の井上貴子デビュー35周年記念イベントで、約4年の時を経てプロレス復帰。ゆえにプロレス“再デビュー”というわけだ。