3月27日より三越劇場にて久本雅美と大湖せしるがW主演を務める舞台『毒薬と老嬢』は、1941年にブロードウェイで初演されたブラックコメディの金字塔で、ロングラン上演を達成した人気作。日本でも各世代の名優が演じているが、安楽死や高齢化社会への風刺もあり、いつの時代でも色あせることなく、観るものに訴えかけてくる。

ストーリーは、第二次世界大戦の火蓋が落とされたころ。ニューヨーク・ブルックリンの閑静な住宅地に住むアビー(久本雅美)とマーサ(大湖せしる)の老姉妹は、自分を本物の大統領と信じている甥のテディ・モーティマーと共に暮らしている。二人は町で評判の慈善家で、訪ねてくる身寄りのないお年寄りに特別なおもてなしをする。しかし、老姉妹にはある秘密が隠されていた……。

演出は、2022年の上演に引き続き錦織一清が行う。『このメンバーで成功しなければ、全て私の責任です……』と言わしめた、豪華キャストが集結。前回同様、エレーン役を演じる惣田紗莉渚に、本作への意気込みを聞いた。

 

久本雅美さんからたくさんのことを学びたい

――今回エレーン役を演じるのは二度目です。どのように挑もうと思っていますか?

惣田 2022年の前回の公演は、久本雅美さん演じるアビーや相手役の納谷健さんが演じるモーティマーにたくさん引っ張っていただいて演じることができたように思います。

今回はエレーンという役を、よりブラッシュアップして共演者の皆さんと素敵な化学反応を生み出せるように頑張りたいです。いい意味でモーティマー家のみなさんを振り回せられたらいいなと思います!

――久本雅美さんというコメディの女王と共演することは楽しい反面、プレッシャーもあると思います。この舞台に期待すること、得たいものをお聞かせください。

惣田 2月に行われた取材会では、久本さんがほかの出演者の言い間違えもうまく面白くしてくださったりして、おかげでトークがすごく盛り上がりました。久本さんはそういう難しい役目もできてしまうし、いつも相手のこと、仲間のことを考えてチームワークを第一に考える人。

常に“どうしたら面白いものを届けられるか”観客目線で考えているし、真の喜劇人です。だからこそお客様に笑いを届けられるのだとすごく感じます。前回のお稽古場では、私がいつもボソボソとセリフの練習をしていたら「稽古場からしっかり声を出していかないと! 恥ずかしがっていたらダメよ」とアドバイスをくださいました。

このアドバイスはずっと胸に刻まれていますし、今も心がけるようにしています。舞台上であまり絡むシーンがないのは残念なのですが、久本さんの空気感からも色々なことを学んでいけたらと思います。

 

――惣田さんは舞台がお好きだと公言されてますが、今回の舞台に対する意気込みを教えてください。

惣田 エレーン役は薄ピンク色の上下ピッタリとしたセットアップがお衣装なので、それが似合う体型を目指して今頑張っています! 今回の台本はこれからいただくのですが、前回のエレーンを意識し過ぎず、同じものを決して作らない錦織さんが、2025年度版をどんな『毒薬と老嬢』にするのか本当に楽しみです。

――舞台のみならず、様々な表現に挑戦されていますが、舞台の面白さ、難しさ、やりがいなど教えてください。

惣田 昨年は『毒薬と老嬢』の音楽も担当してくださっている岸田敏志さんの曲をカバーさせていただいたり、二人でライブにも挑戦しました。もちろん音楽も大好きですが、やはり舞台の上で生きる、人と人との会話、そこで生まれるものを生で観ていただける、それが舞台にしかない魅力だと思います。

同じ内容を毎日演じることに飽きたりしないか聞かれることもあるのですが、私はまだ一度も飽きを感じたことがなくて、一期一会のお客様と作り上げるのが舞台なので、それがすごく楽しいです。ただ、私は毎日、今日はここがこうしたらよかったかなと考えすぎてしまうタイプなので、自分を客観視しながら公演を重ねていくことが毎日すごく大変で、公演中はずっと気を張って過ごしている気がします。

でも、大変だから楽しいし、やめられないのかもしれません(笑)。いつか、アビー役がはまるくらいになるまで、このお仕事は続けていきたいです。


プロフィール
惣田紗莉渚(そうだ・さりな)
1993年1月18日生まれ。埼玉県出身。B型。趣味は宝塚など舞台観劇、野球観戦(西武ライオンズファン)、キャンプ、ゴルフ、植物を育てること。特技はクラシックバレエ、ダンス、日本舞踊、料理、会った方の名前と顔を一瞬で覚えること。2013年AKB48ドラフト会議にて、SKE48チームKⅡに指名されデビュー。2021年6月、SKE48を卒業、ソロ活動へ。錦織一清演出の『サラリーマンナイトフィーバー』では女子高生役として毎年出演し、その他多数出演している。
舞台『毒薬と老嬢』
作:ジョセフ・ケッセルリング 
訳:黒田絵美子 
脚本:浩寛 
演出:錦織一清 
出演:久本雅美、大湖せしる、渋谷天笑、納谷 健(劇団Patch)、惣田紗莉渚、佐藤嘉寿人、岡本悠紀、我 膳導、兵頭有紀、甲坂真一郎、嘉島典俊、丹羽貞仁、川端槇二、笠原 章、錦織一清
公演 : 2025年3月27日(木)〜 4月4日(金)
会場 : 三越劇場(東京 日本橋)