アーティストでもあり俳優でもある高野洸が、対談を通してアートの世界に触れ、表現を学ぶ「お訪ねアトリエ」。今回のゲストは、鈴木セイゴさん。
現代性と和をミックスした浮世絵風の作品で人気のイラストレーター鈴木セイゴさん。躍動感ある女性の姿をシンプルな線で生き生きと描く鈴木さんの作品は、SNSで人気となり、11月11日には画集『うっつく -日ノ本美人寄-』を発売した。
今回は、その発売に先駆けて11月7日から原宿EMスタジオにて行なわれた個展「日ノ本美人寄」(現在は終了)の会場をお借りして、対談を行なった。展示作品を拝見しながら、創作の裏側をじっくりと伺った。

鈴木セイゴ流の浮世絵の描き方
高野:(展示作品を見て)すごいですね、作品がたくさんありますね!
鈴木:ここにあるものは、デジタル絵がほとんどなのですがこの色紙は手書きですね。
高野:すごくきれいな線ですね。
鈴木:これは太い付けペンで描いて、髪の毛などは線の太さを変えて表現しているんです。
高野: (屏風を見ながら)これもすごいですね。

鈴木:じつはそれ本物の金箔を貼っている金屏風なんです。
高野:え? 本物の!? このイラストは画集の最後のページも見ました、パース(線遠近法のことで、紙の上に線で空間を描く技法。「透視図法」と呼ぶこともある)をあんなに描き込むんですか?
鈴木:普段からそうですね。
高野:セイゴさんのイラストって面白い角度の絵が沢山ありますね。
鈴木:パースを使うと、割といろんな角度の絵が描けますね。
高野:デジタルの時は、線画はどう描いているんですか?
鈴木:CLIP STUDIOっていうソフトのデフォルトのペンで描いていて、線の強弱を付けない、均一の細い線が好きなんです。
高野:描いてから最後に浮世絵風にするんですか?
鈴木:はい、テクスチャーを付けます。そうしないとのっぺりとした絵になっちゃうので、最後につけると一気に浮世絵っぽくなりますね。
高野:なるほど!
――カラーイラストを1枚仕上げるのにどれぐらいの時間で描かれるんですか?
鈴木:たぶん、集中して乗ってる時は、2、3時間で1枚描いています。
高野:2、3時間!? 早いですね。
鈴木:絵を描き始める前に、頭の中にイメージを作っているので、それを出力して描くだけっていう感じです。モニターの前に座って、今日はなに描こうかな? の状態で描き始めたら、時間がかかると思います。
――ちゃんとお題と構図がもう頭の中にある状態でやると…。
鈴木:はい、それを描きだすだけですね。
高野:そうなんですね。画集の中に背景もすごい作品がいっぱいありました。(パーカーの絵柄を見て)この絵もいいですよね。

鈴木:これは、背景も含めると結構描くのに時間が掛かっている作品ですね。実は、僕がバイクが大好きで他の作品にもよく描いてるんです。
高野:バイクいいですね。これも構図がすごいですね。
鈴木:そうですね、これは魚眼レンズみたいに両側に収縮していく構図ですね。
高野:魚眼レンズで覗いたような感じは僕は、写真を一度撮って、それを見ながら描くとかじゃないとなかなか描けないですよ。それに、浮世絵風の背景にこのバイクの近代的な感じがいいですよね。パースを使う時は、そういうソフトとかがあるんですか? それとも、ご自分で描かれているんですか?
鈴木:自分で描いてます。僕、高校が工業高校の建築科だったので、そこで習ったんですよ。それが生かされています。これも(47都道府県の作品)、今年の1月からずっと描き始めていて、全部パースつけてて、同じパースを使わないように努力したんですけど、やっぱりそんな種類ないんです。パースの種類(笑)。なので、左右反転させたりとか。上下反転させたりという形でバリエーションを作りました。

高野:なるほど(笑)。でも、都道府県全部を考えるのも大変そうですよね。
鈴木:大変でした。各都道府県の名産とか観光地を調べて描きました。
高野:しかも、1つの絵に1つの特徴じゃなくて、結構混ぜてらっしゃるんですね。伊達政宗とずんだとか。
鈴木:はい、特徴がいっぱいあると、すぐアイデアが出ますね、ただ数が多いので苦労しました(笑)。


高野洸













