よく噛んで食べることは非常に大切

よく噛んで食べることは非常に大切です。よく噛むことは、単に食べものを体に取り入れるためだけではなく、全身を活性化させるのに大変重要な働きをしてくれるからです。噛むことの効用について、学校食事研究会がわかりやすい標語を作りました。それが『ひみこのはがいーぜ』です。

ひ:肥満防止

よく噛んで食べると、早飲み込みしないので、インスリンの分泌が急激に上がることがありません。血糖のバランスが穏やかになるので、よく噛むことによって肥満防止になります。また、よく噛むことによって脳にある満腹中枢が働き、満腹を感じます。

み:味覚の発達

よく噛んで食べると、食べもの本来の味が分かります。唾液と一緒に噛むことで、苦いものも甘くなります。

こ:言葉の発音がはっきり

よく噛むことは、舌や口の周りの筋肉を使いますから、歯並びがよく、きれいな発音ができます。

の:脳の発達

よく噛む運動は脳細胞の動きを活発化します。「8020運動」――80歳で歯を20本残そうという運動がありますが、その考えの基本は噛むことによって脳に刺激を与えるというものです。噛むことは、高齢者の認知症予防にも大いに役立ちます。

は:歯の病気予防

よく噛むと、唾液がたくさん出て、口の中をきれいにします。この唾液の働きが、虫歯になりかかった歯の表面を元に戻したり、細菌感染を防いだりして、虫歯や歯周病を防いでくれます。

が:がん予防

よく噛むことでセロトニンが分泌され、夜にメラトニンとして働くことで、抗酸化作用、免疫賦活作用が起きます。さらに、抗酸化作用を持っていますから、がん予防に役立ちます。また、唾液に含まれる酵素には、発がん物質の発がん作用を消す働きがあると言われています。

いー:胃腸の働きを促進

よく噛むと消化酵素がたくさん出ます。食べものがきちんと咀嚼されないと、胃腸障害や栄養の偏りの原因となりがちです。

ぜ:全身の体力向上と全力投球

歯を噛みしめることにより、からだ全体に力を入れることができるようになります。グッと力を入れたい時に、丈夫な歯がなければ踏ん張れないということでしょう。

▲よく噛んで食べることは非常に大切 イメージ:PIXTA

※本記事は、今津嘉宏:著『115歳が見えてくる“ちょい足し"健康法』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。